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恵比寿の鉢山中学の職業体験で小比類巻道場にて格闘家を夢見た14歳が職場体験

恵比寿にあります鉢山中学校が平成14年からスタートした「総合的な学習」

「総合的な学習」の中には中学生による「職業体験」もあるんです。

生徒が憧れる職場での職業体験から自分の生き方を学び、仕事とは何かや

仕事の大変さ、職業としてお客さんと触れ合うなど他にはあまりない取組。

今回の職場体験の中にはなんと!!「格闘家になりたい」というお題が。

以前取材をさせてただいた小比類巻道場でこの「職業体験」があるという事で

今回取材に行ってまいりました。格闘家という職業とはどういう物なのか?

お話によると今回小比類巻道場で職場体験を志願した泉健太くんは

格闘家を夢見る14歳。このチャンスを聞いたのは校長先生からというなんて

素敵な中学校なんだと、恵比寿新聞が中学校の時にこういう体験をしたかったと

思わざるを得ない「子供の夢を叶える」為に一生懸命な中学校なのです。

こちら、小比類巻道場に4日間就職する今回の主人公「泉健太くん」14歳。

見てください。この希望に満ちたまなざし。憧れの小比類巻さんを目の前にして

目がキラキラとしております。なんて羨ましいんだ。

若干初々しさが残る中学校3年生。しかし何故?この狭き門でもあり過酷な

格闘家を目指したのか?この道場の師範でもあるミスターストイックこと

小比類巻さんを交えてまずは健太君の面談が始まりました。

格闘技が好きだから

泉君の目は真剣でした。強くなりたいと思う気持ちと心から格闘技が好きだと

言う話を一生懸命話す横で小比類巻さんはこんなことを言っていました。

小比類巻さん
こうやって格闘技が心から好きだと思ってもらえるようにもっと我々はしていかないといけないし、彼のように格闘技を目指している子たちが活躍できる場所を作っていかないといけないんです。

そんな小比類巻さんは

13歳で格闘技に目覚め中学校で極真空手に入る。道場生は自分よりも全然年上の人

ばかりで地域でも有名な「手加減なしの道場」に入門。

小比類巻さん
僕の通った道場は本当に硬派で手加減なしの恐ろしい道場でした。だって最初の稽古で思いっきり正拳突きを胸にくらって胸骨折りました(笑)通常だったらそこでやめる人が大半なんですが僕の性格なんで辞めずにあきらめずに通ったんですね。あと誰よりも人一倍練習とトレーニングしましたね。

恵比寿新聞
泉君この4日間大変だね(笑)

泉君
・・・・・

小比類巻さん
とにかく泉君にはまず、小比類巻道場に通うお客さんが気持ちよくトレーニングできる環境を作るために掃除やオープンまでの作業をしっかりとやってもらいたいんです。そしてまず挨拶ですね。時間があればプロの練習にも参加してもらおうと思っています。

恵比寿新聞
泉君がんばれる???

泉君
頑張ります!!!!!

今回泉君の面倒を見る担当として浦林幹選手が先輩として教えます。

浦林選手もここ小比類巻道場で働きながら明日のチャンピオンを目指す

格闘家。厳しいトレーニングと仕事と試合を一挙にこなすって本当に大変。

という事で泉健太君の4日間の短い職業体験が始まりました。

小比類巻道場ではまず10時のOPENに合わせて掃除から入ります。

トレーニングに来られる方が気持ちよく練習できる環境をまず作るという事。

そして用具の手入れ。トレーニングにはトレーニング用具は大切。物を大切にする

事も仕事の一つです。トレーニングに必要なサンドバックのセッティングは

これがまた重くて大変なんですよね。通常一人では難しいんですね。

一人で運ぼうとする泉君。サンドバックの重さは100キロを超えるもの。

そんな一人で運ぼうとしている泉君に先輩から

「おい。誰かに一声かけろよ!一人でやろうとするなよ!」と激が。

わかるな~。一人でやろうとする気持ち。先輩に迷惑かけたくないから

どうしてもコミュニケーションせずに一人でやってしまった方が早いと思ったり

するんだよね。しかし、これもとても重要な職業体験だと思います。

先輩から「言葉」でというより「態度」で教えてもらう。

本当に貴重な体験だと思います。どちらかというと泉君は話下手。

結局先輩だけでサンドバックのセッティングが完了してしまいました。

恵比寿新聞
泉君。いいの?先輩にやってもらって?

泉君
はい。僕がちゃんと声をかけてやらなかったから悪いんです。

わかってるじゃん!素直!

初日はぎこちないながらも小比類巻道場の仕事を着実にこなし頑張りました。

ここで恵比寿新聞は退散することになりました。

次会うのが3日後の最終日という事で。頑張ってね!泉君!!!!!!

 

 

 

 

そして最終日・・・・・

 

 

 

彼はリングの外で先輩のスパーリングを眺めていました。

明らかに初日の目つきと4日後の目つきが違う事に気づきました。

伺ったのは午後3時。丁度お客さんが来られるトレーニングを終えて

ここからはプロの練習が開始されていました。という事は泉君もプロの

練習に参加できるという事?その時声がかかりました。

「おい健太!こっち!」先輩との組手に呼ばれたようです。

以前の取材でも小比類巻道場のトレーニングは過酷さを極めます。

大の大人が2時間のトレーニングで倒れて動けなくなるほどの練習量。

しかも14歳の泉君はプロの練習に参加するわけです。しかも手加減なし。

さすがプロに押されながらも一生懸命必死で返そうとする泉君。

しかしなかなかイニシアチブが取れません。それもそのはず組手をしている

先輩は泉君よりも何十倍練習量をこなしているプロの選手。思ったのは

自分より強い人がいるからこそ超えて見せようと思う気持ちが大事なんだと。

しかもこの選手・・・・・

元ムエタイAMCOスーパーライト級世界王者 明戸選手

す・・・凄い人と組手してるじゃないか・・・しかもコツを覚えたのか

何気に押しつ押されるの攻防を見せるまでの成長ぶり。

そんな健闘を見せる泉君に直々に小比類巻さんが声をかけました。

よし。次やってみたい?

泉君。即答で「やりたいです」と答えます。そしてサンドバックを相手に

ラッシュでパンチを繰り出す練習に入りました。もちろん先輩方は気迫が凄い。

「ハイハイハイハイ!!!ビシビシビシビシっ!!!」

初日に見たあの泉君は何処に行ったのやら・・・そこには一人の格闘家が居ました。

中学2年生には見えないパンチを繰り出している泉君を見て

本当にこの子格闘技が好きなんだなと思いました。目が生き生きしている。

しかしプロの練習は甘くなかった。何度も小比類巻さんから要求される

パンチの連打の応酬。何度も何度も続くわけです。プロでも根を上げる練習に

泉君もついていくだけで必死。手が上がらなくなるほどラッシュの練習。

練習はさらに続きます。

小比類巻さん
あと10秒で試合が終わるんだよ!!どうする!?あと10秒だよ!!

物凄い練習量。プロの方々も正直根をあげそうな練習。休む暇なんてありません。

休んだとしても10秒かそこら休んではすぐにトレーニング。見ている私がつらい。

それでもついていく泉君に感心しました。足が上がらなくなっても

一生懸命蹴ろうとするそのがむしゃらさに感動しました。しかしプロはそんな

甘いもんじゃありません。小比類巻さんから激が。

健太!声出せ!!

しかしパンチを繰り出すだけで必死な泉君。声なんて出る余裕なんてありません。

プロの洗礼を感じたのかな。呆然と立ち尽くす泉君。そしてキックとパンチの練習を

終え、次は相手を倒す組手に突入。これはつらいでしょ・・・いくら小比類巻道場

のミスターストイックだからってこれはきついよ・・・

しかし泉君はあきらめませんでした。彼をなぜそこまでさせるのか。

気力だけでついて行っている彼を見てこの「職業体験」という社会の過酷さ

だったりトレーニングの辛さだけじゃなくて本当の意味での「踏ん張り」を

社会経験しているのだと。目頭が熱くなってきました。

倒されても這い上がり。倒されても這い上がり。

大人になれば絶対経験する挫折感や信じれるのは自分だけという孤独感。

そしてこのミッションを成し遂げるあきらめない気持ち。

小比類巻さんは何も言いません。ただひたすら見つめるだけ。

まだまだトレーニングは続きます。ここまでくればプロもアマも関係ない自分との戦いです。

腕立てからジャンプそしてスクワット。これが何度も続きます。泉君もすでに腕立てが

できない状態にまで体力を消耗しています。それでも続きます。そしてついて行きます。

室内は選手の熱気で眼鏡が曇るほど。人間が極限まで運動をするとこうなるのか?

と言わんばかりの熱気。気が遠くなるほどのトレーニング。その時泉君の目を見たんです。

何か大きなものに向かっていくときの大切な目をしていたんですね。

最初会ったとき思ったのは普通の中学2年生だと思いました。

しかしこの4日間で彼は見違えるほど変わったんですね。そしてトレーニング終了。

恵比寿新聞
泉君。本当にお疲れ様!!どうだった?

泉君
わからないです

恵比寿新聞
え?

泉君
どうだったかわからないんです。

 

 

恵比寿新聞思いました。一生懸命自分が好きなことをがむしゃらにやっている時って

何もかも考えずに必死でやってるって事。泉君はすごい体験したんだなと。

この「わからないです」というのは一生懸命必死でやった証なんだなと。

トレーニングを終えて小比類巻さんとの最後の面談です。

一貫して小比類巻さんは厳しかった。面談の際もこういう一コマが。

小比類巻さん
彼に声出せって話をしたと思うんですけど、実際にどうやって出せばいいか本当はわからない子もいるんですよね。でもね。パンチを繰り出す時って空気を吸って出す人っていないと思うんですよね。大体空気を吐きながらパンチって打つんですよ。それが声を出すだけで威力や気合が変わってくるんですよ。戦いって正直「骨と骨とのぶつかり合い」なんですね。痛いですよ。でもその痛みを「我慢する」とか「耐える」って結局気合なんですね。だから声出せないやつって結局弱いんですよ。

 

こんな質問を泉君してみました。

恵比寿新聞
プロのトレーニングを今回体験したと思うんだけど正直きつかった?

泉君
キツイっていうかキツイという事すら考えられなかったです。しかもプロの方と一緒にしているからついて行かなきゃって思って。。

恵比寿新聞
小比類巻さんどう思われますか?

小比類巻さん
まず格闘技を好きで来てくれたって事が僕が本当にうれしいことだったんですよ。そんな子が僕の所に来てくれたことがうれしいんですよ。まだまだ格闘技は深いですから4日間では教えきれないですけど。まず彼を今回見て思ったのは、先ほども彼から「考えられなかった」って言ってましたけど好きなことをやってるから辛いとかキツイとかないんですよ。そこを見てまだまだ彼は強くなれるなと思いました。そして彼のように中学生ってほとんどコミュニケーションを取るのが中学生同士だと思うんですね。でもこの職業体験を通して社会人の人や目上の人ともコミュニケーションを取る事が出来てそれだけでも物凄く勉強になったと思うんですね。

恵比寿新聞
なるほどですね。社会経験って本当に大事なんですね。

小比類巻さん
あと僕が一番伝えたいこと。こうやって格闘技を好きで来てくれたじゃないですか?だからあえて言いますけど、格闘家の一番大切なところ、それは「紳士」でいる事なんですね。例えばメキシコのボクサーやムエタイの選手とか非常に紳士なんですね。どれぐらい紳士かというと彼らが深夜遊びまわっていたら試合権利を剥奪されるぐらいこの世界って厳正なんですね。強さを求める手に入れるっていう事は持つ側が紳士でいなくてはならないんですね。それを暴力振るってみたり俺が強いんだって低レベルな事はしてほしくない。強さってそういう物だと思うんですね。彼にはその言葉を持って帰ってもらいたいんですね。

という事でお送りしました鉢山中学校の職業体験。物凄く意味のある事だと思います。

そして我々大人が子供たちに自分たちの仕事を教えることによって逆に発見がある

良い意味で色々と考えさせられる双方向的な取り組みだと思います。

泉君はこの経験を活かして格闘家をめざすのかな?なんと12月23日の小比類巻道場の

生徒さんの試合に泉君が出場するそうです。素晴らしい出会いだったんですね。

一生の思い出になるだろうな。こんな活動をされている鉢山中学に脱帽です。

すばらしい!!!!泉君・小比類巻さん・浦林さんお疲れ様でした。

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