恵比寿新聞のinstagramに一本のメールが飛び込んだのは11月中旬。
「恵比寿西にお豆腐のお店をOPENすることになったんです」というメールでした。どんどん絶滅していく町場のお豆腐屋さん。つい先日も白金のお豆腐屋さんが閉店されたばかり。昔は「プゥ~プゥ~」と夕方にこだまする豆腐のラッパを聞きつけた母親が「ほら!あんた!ザル持って豆腐2丁買ってきて!」と走らされたもんです。
そんな話を聞きつけて伺ったのは恵比寿西の五差路近くのJR高架下前。どう見てもレストランな佇まい。しかし近くに寄ってみると。。。
お…お豆腐屋さんだ!
木綿豆腐に三角揚げ。おぼろ豆腐に豆乳まで!店先に並べるという事はこの中で作っているという事でしょうか?今回このお店を新しく作られたのは恵比寿の酒場でもなかなかイケてる「それがし」さんのグループが作られたそうな。
という事で中に入ってみました。
え!?・・豆腐製造・・・
入口をドンと入りますとドドンと目の前がこの表記「豆腐製造」の文字。
めっちゃ豆腐製造してる!
いや。驚きました。恵比寿のど真ん中に豆腐の製造工場があるなんて。職人の皆さんがせっせと豆腐の製造を行われておりました。一人海外の方が職人さんとしては居られていますが、実はイタリアから来た修行者の方で、ヨーロッパに豆腐を紹介したいとここで修行されているそうな。それを横目に中に入りますと・・・
そこには酒場が広がっていました
トンネルを抜けるとそこは雪景色でした・・・のような雰囲気で製造工場を抜けるとそこは・・・酒場でした・・・。製造したての豆腐を食べれるって事ですね!それは嬉しい!さぞかしこだわりの豆腐なのでしょうね。
宮城県産「ミヤギシロメ」を使用
豆腐の製造の技術は宮城県の「涌谷とうふ店」さんで修行し、使用する大豆も優良品種でもある「ミヤギシロメ(NO遺伝子組み換え)」を使用。大豆って芽(へそとも呼ぶ)の部分が黒くなるのですがこの品種は白くその分甘みが豊かな大豆なんだとか。主に高級和菓子などに使用する品種でお豆腐に使用するのは特に稀なんだとか。
しかも「豆富食堂」さんで製造される豆腐には「消泡剤」という添加物を一切使わないと言います。豆腐を製造する過程で豆乳が泡立ち気泡だからけの豆腐にしない様にほとんど市販されている豆腐には泡を消す「消泡剤」が使われるといいます。豆富食堂さんでは特殊な機械を使用し泡立ちを抑え無添加で豆腐を作る事に成功。より昔懐かしの豆腐を味わえるというものなんだそうです。
そのまま食べてビックリ
出来立ての「おぼろ豆腐」を頂いてみましたが、まず驚いたのが味が濃い!そしてほんのりと自然の甘み。目をつぶると大豆らしさが口の中でいっぱい広がるとっても濃厚なお豆腐。美味しい豆腐は醤油要らずなんだな。。
豆富食堂さんではそんな製造したてのお豆腐を様々な料理として楽しめるお店だという事で色んな料理を食べてみたいと思います。まずはこちら。
干し豆腐と香味野菜のサラダ
中国や台湾ではポピュラーな干し豆腐。硬めの木綿豆腐をさらに圧縮・脱水して干して作られたものなのですがこの食感が大好きという方も多いのではないしょうか?
スポンジ状になった豆腐が千切りで麺のようになっていてこの豆腐に調味料がしみ込んで噛み締めぐごとにジュワっと美味しいのです。こちらはパクチーがたくさん入ったお酒の肴にピッタリな逸品でした。ヴィーガンの方にもお勧めかも。
おから手毬寿司
小さな可愛い手毬寿司。なんとシャリの部分がおからなんですね。またこれも魚の旨味とおからの素朴さがとても合う!こちらもお酒の肴にピッタリな一品ですね。
豆腐麹の唐揚げ
あ!お肉もあるんですね!豆腐と言えばヘルシー路線かと思いきや、お話を伺っていると「豆腐のポテンシャルを最大限まで引き出したい」という事で縦横無尽に豆腐のポテンシャルが楽しめる。この「豆腐麹(とうふこうじ)」初めて聞いたフレーズ。所謂台湾でいう所の豆腐に麹をつけ、塩水中で発酵させた「腐乳」を「塩麹」的に唐揚げに使用したという逸品。
これがね!今までにない唐揚げのテイスト。いや、台湾でこの味、味わったことがある!と何とも不思議な味わいでハマってしまうお味。鶏肉は大山鶏の胸肉を使用しているとの事。さっぱりして癖になる味わい。これはうまい!
肉がんも
え!?がんも!?あの脇役の?おでんの名バイスプレイヤーのがんも!?オーナーの尾山さんに話を聞いてみると「実はいつもわき役だった’がんも’にタップリと肉を練りこんで作ったみたところ’主役’級に躍り出た」という事で頂きますと!これは!焼売クラスの主役ですよ。主演男優賞「がんも」ですよ。
からしを付けて食べると豚肉と羊肉の香ばしさが良いアクセントになっていて。いや~「がんも」もオリンピックを経て進化するもんだねー。いやはや脱帽。うまい!いよいよメインディッシュが登場。
豆腐白湯・塩
いやいや。ちょっと待ってくださいよ。ラーメンって豆腐ぜんぜん関係ないじゃないですかw終わりよければすべてよしってレベルじゃないですよ。いくら豆腐料理店と言って最後「塩ラーメン」って。「うちの職人が昔ラーメンの名店で働いていたもんでついつい」って話じゃないですよね?(笑)
って・・・・
豆腐だぁ!
なななな・なんとですよ。真っ白で丁寧にとった鶏ガラスープの中にはアイツが居たんですよ。干し豆腐!麺かと思ったら豆腐だなんて。これがまた「まるでラーメン」なんですよ。少しヘルシーな気分を味わいつつ、ここで「味変」カマせるらしく。
レモン絞り青唐ぶっかけ
ぎゅぎゅッとレモンを絞って青唐辛子をぶち込んでみてください。これがまたズシっと来る青唐の辛みとレモンの酸味がタイ近郊のナイトマーケットの屋台ですする辛いんだけどさわやかなあのアレを彷彿とさせるアレなんですよ!旨い!
豆腐めし
日本橋「お多幸」さんが発祥とされる「とうめし」。豆腐屋さんが本気で「豆腐めし」を作ったらという事ですね。こちらいつものハーフサイズ。
出汁がしみしみの木綿豆腐がごはんの上に乗っている、ただそれだけの料理なのになんでこんなに美味しいのか!?レンゲで豆腐とごはんを口に入るくらいよそい頬張ると甘い出汁と米が合うんですよね。最後の方はレンゲで豆腐を潰しながらごはんと混ぜて頂くとヘブン状態です。
っていうかもうお腹いっぱいです!豆腐でこんなお腹いっぱいになると思わなかった!
豆腐のみたらし団子
最後まで豆腐攻め。白玉と豆腐をうまく練りこんだみたらしも美味でした。オーナーの尾上さんと少しお話する機会がありました。尾上さんも恵比寿戦士として長くこの町に従事されている。2011年に五反田に「それがし」をOPEN。震災があった前の月だったので初めてのお店をOPENしたや先に震災になって本当に「終わった」と思ったそうです。
2014年に恵比寿に「それがし」をOPENし昔から恵比寿で働いていたこともあり恵比寿にとても愛着のあるオーナーさんなんだなと思いました。そして今回の「豆富食堂」はそんな日本の文化「豆腐」の魅力を伝えたいと古くからある伝統的な豆腐の作り方を学びやっとOPENにこぎつけたとの事。
白・黒ごま豆乳
お昼は来年1月からランチを開始し、11月30日から夜の酒場と豆腐や豆乳・豆腐スイーツの販売をスタートする。どんどんお豆腐屋さんという文化が無くなる一方、このような新しい形での豆腐屋さん復活は本当に嬉しいですね。恵比寿新聞陰ながら応援したいと思います。
豆富食堂
東京都渋谷区恵比寿西1-3-1
☎ 03-6455-2516
営業時間
イートイン 17:00~23:00(LO:FOOD 22:00 DRINK:22:30)
ショップ 12:00~売り切れ次第
※ランチ営業は2022年1月スタート予定
https://goo.gl/maps/ALBsHSmmM2wmK5TM8