リニューアルオープン前の「和の食いがらし」で感じた五十嵐さんの凄さ

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このコロナ禍で街の移ろいがどんどん変化する恵比寿で無くなったお店もあれば新しくできたお店、そして装いも新たに再出発を遂げたお店もあります。今回はそんな装いも新たに11月22日にリニューアルオープンする「和の食 いがらし」さんにご招待を受け新しい「和の食 いがらし」を体験してきました。

久しぶりに灯る灯篭に感動

五十嵐さんがお休みに入ったのは9月から。「実は全面リニューアルすることになりまして」という店主の五十嵐さんの顔にはまだ少し不安があるようなそんな印象でした。時はコロナ禍での自粛真っただ中。五十嵐さんだけじゃなくて沢山の人たちが先行きの見えない状態だったと思います。

2020年コロナ初期の段階ですべての方々は自宅待機・リモートワークになった時学校や園が自粛でお休みのなか、日々家族の為に料理を作るパパ・ママにつかの間の休息と子どもたちに「プロの食」を感じてもらおうと始めた「恵比寿こどもごはんプロジェクト」では真っ先に「地域の子どもたちや親御さんの為に力になれれば」と五十嵐さんが手をあげてくださった。五十嵐さんはそんな人なのだ。

久しぶりに会った五十嵐さんの目に迷いなし

こちらが店主の五十嵐さん。みてください。この五十嵐さんの「迷いなき眼」を。そして驚いたのはお店の仕様が180度変わっている。

恵比寿新聞
い・・・いがらしさん・・・これは・・・

五十嵐さん
そうなんですよ。随分変わって驚かれてますね^^

恵比寿新聞
いや。。180度すべて変わっていますね。

五十嵐さん
全てスケルトンにして一から全部作り直したんですよ。

手仕事が眺められるカウンター

まっさらなヒノキのカウンターが8席。以前のカウンターとは違い五十嵐さんの手仕事がしっかりと眺められる仕様に。見上げるとなんと「虎斑竹」の柱に竹細工で編まれたライト部分。横には焼き場があり焼きたてのものを温かいうちにお出しできるような動線もありとても考えられた仕様。

しかも個室もあるんだとか・・・行って見ましょう。

木のぬくもりがある個室

個室が何とも木の温もりがある落ち着いた仕様。大切な時間を静かにゆっくりと楽しめる個室。こちら4席。カウンター8席・個室4席の12名が最大。以前はカウンター4席。4人席が4つで16席の20名が着席できる内容が8席も減らす贅沢な内容にリニューアルとなった。これはまた予約が取れづらくな・・・・

内装が大幅にリニューアルだけじゃないはず。料理も大幅に進化しているはず。

まずは食前酒から。以前から「和の食 いがらし」さんではワインに和食を合わせるというアプローチを行っている。五十嵐さんもソムリエ資格をもつ料理人。

こちらのシャンパーニュは恵比寿ガーデンプレイスにある「LaVin’ee」さんが監修したシャンパーニュ。フランスのパリから車で1時間半ほど北東にあるシュイィ村というシャルドネ品種でも有名な村で作られたシャンパーニュ。高樹齢のシャルドネだけを使い96ヵ月以上も長期熟成させたとても貴重なシャンパーニュ。角が無く丸い味わい。料理が楽しみになります。

今日は恵比寿でも五十嵐さんと親交のある方々が集まり会食。五十嵐さん曰く「練習」との事で皆さん集まりました。「le lion」の須田さんもいる。後頭部しか映っていないのは先日惜しまれつつも閉店した「九州料理しん」のしんさん。「今、俺、無職ばい(笑)」と。お元気でしたよ^^

ほうれん草と蟹身とトンブリの先付

まずは「先付」から。蟹身の上にはトンブリ。座布団のような下に敷かれたほうれん草。またこのほうれん草が柔らかくてえぐみもなく蟹の風味とあいまってトンブリのぬめりが口の中で蟹の風味を逃さずシャンパーニュでリセットの繰り返し。

海老芋の揚げ焼

続いてお凌ぎ的な。ん!?里芋!?とひと口頬張りますと里芋ほどねっとりした感じでもなく、「何芋!?」と聞きますと「海老芋」という品種。エビのように腰が曲がった芋だから「海老芋」。片栗で揚げたような外はさっくり。中はほっこり。そして海老芋の皮を素揚げした部分がもう感動。塩加減絶妙。ワインに合わせようという事でこちらと合わせました。

Roussette de Savoie Marestel Altesse 2013 magnum

このワイン美味しかったー。オレンジがかったワインで熟成されていて、海老芋の旨味に甘みを少し足してくれるような自転車の補助輪的な役割でいてくれたワイン。和食とワインの世界は面白い!

白子と蓮根饅頭のお椀

丁寧に下処理された白子は天にも昇るような味わい。口の中で白子の濃厚さが広がります。そして今回一番感動したかもしれません。蓮根饅頭!もう風味と食感が「欅坂46にあなたが選ばれました!」的な感動の味。明日からあなたはアイドルです。素晴らしかった。

納豆!?
藁の形をした焼き物の中には???ん????上には白ネギの素揚げが乗っていて中の様相がわからない・・・

鰆(さわら)でした

鰆って「春」と書きますが旬が春なのかと思いきや今ぐらいが美味しい鰆が食べれる季節。この滑っとした濃厚な味わいに香ばし素揚げの白ネギの食感がたまらなく美味しくて。海のものと山のものは別物ではなくつながっているんだなぁと気づかせてくれるお料理でした。

この休み中、五十嵐さんは色んな所に勉強に行かれていたそうです。「和の食いがらし」の料理を引き立てる「器」の作家さんの元へ益子町へ足を運んだり、お燗の勉強に鳥取の冨玲を醸す梅津酒造さんに足を運んだり、手作りを学ぶために和歌山の三ツ星醤油醸造元 堀河屋野村さんや備長炭を作る現場やしらす干しを作る現場などに勉強に行き沢山の刺激を得ての今回のリニューアル。まだまだ料理は続きます。

セイコ蟹の炊き合わせ

でた!松田聖子よりこの季節の旬のアイドル「セイコ蟹」。11月から漁が解禁され2ヶ月ほどでサヨナラしてしまうこの貴重な蟹。もちろんメスのセイコ蟹です。甲羅の上にはセイコ蟹。下にはお米。餡で閉じ込められたそのフォルム。

甲羅から取り出して少しづつ少しづつスプーンで頂きます。もういわずものがな蟹の旨味がずっしりと、プチプチとした外子も美味しいのですが、セイコ蟹の内子に感動。そしてお米が本当に旨いのなんの。こだわりの「古式精米製法隅田屋米」を使用。古式精米法とはじっくりと精米することでお米本来の良さを守るという精米方法。お料理も佳境に。

のど黒のつけ焼き

でました。のどぐろ。口を開けると黒いので「のどぐろ」と言われている非常に濃厚たんぱくなお魚。焼場の腕が無ければこんなに外がパリッと中はジュワっとした焼き加減はとても難しい。さすが五十嵐さん。完璧でした。

しかもこのお皿!竹籠のような陶器でできた器なんですが実際に生地を編んでいるという凄い器なんです。お店に伺った際は是非チェックしてみてください。凄い職人技!

うなぎ!?にしては・・・ごっついですね。。
凄いタレのしみ込み。店内が香ばしい香りに包まれます。

どう見ても鰻

ひと口頂いてみましたが「うなぎ!」と思いましたが、はずれー!なんとこちら「すっぽん」なんですって!!!

すっぽんの照り焼き

これがもうブリンブリンの食感。実は恵比寿新聞スッポンが苦手だったのですが噛み締めた途端に染み出る上質な脂としっかりと味の染みた状態に一瞬で完食。驚きの逸品でした。

すっぽんの肝の照り焼き

すっぽんの肝ですよ。こんなの食べたら今日の夜どうなる事か。。いよいよ料理は最終局面に。

鯛の土鍋炊込みご飯

益子町の窯元「チモイ窯」さんで作られた土鍋はいがらしで使用する為の特注。そして先ほども触れました「古式精米製法隅田屋米」さんの米を使用。「和の食 いがらし」と言えば「炊込みご飯」と言っても過言ではないスペシャリテ。今回古式精米製法隅田屋米の片山さんと研究に研究を重ねたアップグレード版「炊込みご飯」なのだとか。

進化著しすぎ

恵比寿新聞結構お米にはうるさいほうなのですが、これはまさに「芸術」の域です。粒立ちがしっかりしていて噛み応えのある中にしっかりと鯛の旨味がコンパイルされていて噛めば噛むほど旨い!ゆっくり効率を無視してまでも丁寧に精米されたお米に五十嵐さんのイメージを受け取った特注の土鍋。お米を炊き上げるまでのきめ細やかな仕込み。すべて手作りの総決算がこの「炊込みご飯」なのだなとやっぱり五十嵐さんは凄いんだなと。

2014年に撮影した五十嵐さん

すべては五十嵐さんの人柄から素晴らしいものが集まっている。恵比寿新聞も大変な時に色々と助けて頂いた。きっと五十嵐さんとお付き合いのある方はみんなそうなんでしょうね。気づけば五十嵐さんとのお付き合いも8年目。懐かしい写真が出て来たのでここに貼っておきます。本当におめでとうございます。

「和の食 いがらし」のリニューアルオープンは11月22日より。ご予約は「和の食いがらし」のホームページにて受け付けています。五十嵐さんおめでとうございます。

和の食 いがらし

東京都渋谷区恵比寿4-9-15 ハギワラビル5/2F
☎ 03-3447-9893
営業時間 18時〜23時(最終入店20時)
ホームページ

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