【食歩伝】Vol.4 美味しそうなキッチン

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恵比寿新聞の編集長の日々恵比寿の色んな飲食店へお邪魔してはお料理の話に花が咲いてしまう出来事をショートコラムで紹介する「食歩伝(しょくほでん)」。今日は恵比寿2丁目の住宅街にひっそりと佇む「NINO’S PASTA」さん

数えたことはありませんが年間で大体100店舗ぐらいの飲食店にお邪魔し厨房に入り込み色んな話を聞かせてもらう生活が10年ほど続いている。「厨房」はボクサーで言うと「リング」であり「聖域」だと思い「お邪魔します」と一言経緯をはらって入らせてもらっている。

そんな数々の厨房という名の聖域にお邪魔している中で稀に「美味しそうなキッチン」というものがある。どう表現して良いのかわからないのだけれど、とにかく「美味しそうなキッチン」なのだ。その人の人柄がにじみ出ている厨房とも言える。今日お邪魔した恵比寿2丁目の小さなイタリアン「NINO’S PASTA」さんはまさにその「美味しそうなキッチン」なのでなかなか見れない現場を見せたいと思い筆をとった次第。

「美味しそうなキッチン」は綺麗とか汚いではない。そのシェフの動きや作法が反映されている状況がなぜか「美味しそう」という形で表れていると自分では解釈している。NINOのオーナー西川さんの作るパスタや料理は人の事を考えてできる「思いやり」が料理に込められた素晴らしいお店。本当に美味しい。そしてこの写真の通り、厨房に立つ西川さんが「心地よさそう」と見えるのはきっと本人も居心地が良いと思うのだが、見ている我々をも気持ちよくさせる。なんでしょうね。それが「らしさ」だったり「個性」なのかもしれません。

そっと置かれた道具や手際よく仕事のできる工夫や配置に「美」を感じる。とても雑然としているようで何気に計算されている。手の届くところにちゃんとあるとか、一瞬を逃すと味も変わるように「手際」が命の世界。美味しい料理ができる現場も美味しそうなんです。それが「美味しそうなキッチン」。おいしそうでしょ?

そういえば現在「NINO’S PASTA」は人手不足だそうな。元々学生が多い町でもある恵比寿。最近は学校もオンラインになりなかなかバイトを確保するのが大変なのだとか。これを見ているどなたか「 NINO’S PASTA 」さんで働いてみませんか?毎日のように「美味しそうなキッチン」で働くというのはとても気持ち良いと思う。

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