注文から麺を手打ち!逸品蘭州牛肉麺の最高峰「ザムザムの泉」で聞いた一族の固い絆

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つい先週の事。恵比寿日本酒の殿堂
GEM by motoの千葉麻里絵さまと
おしゃべりしている時に出たフレーズ。

「ねぇ?ザムザムの泉って知ってる?」

あれ?どこかで聞いたような・・・
そういえば南伊豆新聞でもお世話に
なっている渋谷ズンチャカの榎本君が

「いや~ザムザムの泉ヤバいっすよ」

という話を聞いた事があった。
行く人は皆「ザムる」と言い
カルト的な人気を誇るお店で
話のなかでは川口に中国北部蘭州の
本物の蘭州牛肉麺が食べれるお店があり
それが広尾に最近引っ越して来たという
話だった。

ザムザムが近づいてきている…

これは行けということなのかと
恵比寿新聞即座に携帯を取り出し
「ザムザムの泉」さんにご連絡。
無事取材させてもらえることに。
折角だから1年に400食ラーメンを食べ
自身でも麺を打つこともある
炭水化物の魔物GEM by motoの麻里絵も
誘って取材に行くことになった。

取材当日15時から取材だったので14時半に
GEM by motoに麻里絵様をお迎えに行くと
麻里絵様から

「ねぇたいへんだお。凄いタイミングでラーメンの神様が来る」

というお告げにも似たことを言い始めた。
千葉麻里絵がラーメンの神様と仰ぐその方は
七彩の阪田博昭氏!あの無化学調味料の
ラーメンの先駆けでもあり注文から麺を
打ち始めるという独自の提供方法では超有名。
偶然恵比寿にいらっしゃるとのことで
無理やり取材に同行して頂く事になった。
なんだか凄い偶然のタイミング・・・・
やっぱこの取材何かとんでもない事が起きそう。

左:阪田博昭 右:千葉麻里絵

という事で明治通り沿い、広尾病院の手前
に移転してきた「ザムザムの泉」に到着。
日本語がとっても上手な店主のマーさんが
にこやかにお出迎えくださいました。

こちらザムザムの泉では
注文が入ってから麺うち職人さんが
麺を打ち出すという提供方法。
阪田さんの七彩の提供方法に似ている。

マーさんがここから語りだし
この後国境を超えた麺トークになろうとは
恵比寿新聞も千葉麻里絵も想像しえなかった。

日本語がとても流暢なマーさん

故郷の味が恋しくて

日本に住んで17年という店主のマーさんは
日本に来てから故郷の味が恋しすぎて困っていた。

マーさん
こっちの中華料理は本当に化学調味料がいっぱい入っていて僕は本当に辛かったんです。故郷の本当に塩だけしか使わない料理や家族と一緒に食べた蘭州牛肉麺を食べたかった。だからその味を再現する為に「ザムザムの泉」を川口でつくりました。私の一族は「回族」※1という少数民族でその回族の家族、特に男の子にしか教えない秘密のレシピがありました。その味が私たちが出しているザムザムの泉の「蘭州牛肉麺」なんです。日本にも「蘭州ラーメン」のお店はいっぱいありますが、私たちの「蘭州牛肉麺」はまったく「蘭州ラーメン」とは違います。

※1「回族」とは
中国の少数民族の一つで、中国最大のムスリム(イスラム教徒)民族集団である。回族とされる人々は、言語・形質等は漢民族(漢族)と同じだが、イスラム教(イスラーム)を信仰する。中国全土に広く散らばって住んでおり、人口は約1000万人で、中国に住むムスリム人口のおよそ半数を占める。

マーさんのお姉さん

仕込みに2日・秘密のスープ

マーさんの話によると中国にも「蘭州拉麺」は
3000店舗以上と沢山あるのですがその中でも
一握りだけ本物の人気の伝統店があり、
その中の一握りの店がマーさんの家系。
一子相伝の秘密のレシピがありその作り方を
忠実に再現したのがザムザムの泉の「蘭州牛肉麺」
なのだそうです。もちろんムスリムなので豚肉や
ムスリムで禁止された食材は一切使わない。
牛と塩と薬膳を使う一子相伝の作りかた。
なのでザムザムの泉の「蘭州牛肉麺」は
ハラルフードなのであります。

マーさん
うちはインスタントじゃなくて全部自分たちで1から作っています。だから月曜日は休んで火曜日~水曜日は仕込みしています。スープは牛骨スープとうちの家系で受け継がれている薬膳でできています。8時間~10時間かけて水を足さずにコクを最大限に出すために作り上げています。新鮮な状態で食べてほしいので作り置きしません。作ってないものと言えばスープに入れる「黒酢」ぐらいです^^それだけ時間と手間がかかるんですよ。

マーさんの義理の兄とお姉さん

大切な兄姉を日本へ

マーさんは本国から実の姉と義理の兄を日本に呼び寄せた。
姉は2019年に義理の兄は2020年に日本のビザが
おり今家族でお店を切り盛りしている。

マーさん
実は僕は別の仕事をしながらザムザムの泉をやっています。とても手が足りないけど誰でもできる仕事じゃない。ちゃんとした職人が居ないとできない料理なんですよ。なので故郷から姉とお兄さんに来てもらいました。本当にビザが大変だった。。お金もすごくかかるよ。。今はお兄さんが麺を打ってくれています。

麺打ちのお兄さん

注文が入ってから麺を打つ
ザムザムの泉。元々はマーさんが麺を
打っていましたが今は義理のお兄さんが
麺を打っている。まぁそれは見事な麺捌き
なので是非見てもらいたい。まずは一食分の
麺を棒状に成形します。

打ち粉をつけながら棒状の生地を
二つ折りにしてぎゅーっと伸ばします。
軽い手さばきで面白いように麺が伸びます。

あとはこれの繰り返し
2つ折りが4つ折りになり4つ折りが
8つ折りになり8つ折りが16折になる。
折が増えるほど細くなります。
ここで皆さんお気づきでしょう。
ザムザムの泉では麺の太さが選べます。

麺の太さが選べるよ

一番太い麺から順に説明。

↑太い
A)薄 寛(ボウクワン)日本のきしめん的
B)寛韮葉(クワンジュイ)野菜のニラの太さ
C)搾韮葉(サイジュイェ)ニラのちょっと細い版
D)三 細(サンシー)細麺の丸麺
E)細 的(シーデ)博多麺ぐらい
↓細い

ひょい!と手際のよいお兄さん

延ばした麺はカットせずに
そのまま鍋に投入されます。
わずか1分も立たないうちに
麺は延ばされ鍋で茹でられます。

麺が茹でるまでにマーさんの
お姉さんがスープの用意をします。
自家製のラー油や刻んだ香菜など
手際よくどんぶりに入っていきます。

丁度麺が茹で上がってきました。
こちらはB)寛韮葉(クワンジュイ)
ですね。

完成!!!

まずは360日麺でも生きていける
炭水化物オバケの千葉麻里絵様からご試食。
今回麻里絵ちゃんの麺は三 細(サンシー)
丸麺の中細麺ですね。

吸引力がダイソン並み

恵比寿新聞
麻里絵ちゃんどう?

千葉麻里絵
ふごぉ!ほぎょぎょんぎょぎょぉ!!!

恵比寿新聞
ごめん。何言ってるかさっぱりわからない・・・

千葉麻里絵
麺からスープがほとばしるね!すご!うま!

マーさん
そうなんですよ。独特のコシですよね

千葉麻里絵
これは食べ飽きないわ・・・

マーさん
ありがとうございます。

お次は七彩の阪田さん。
阪田さんの麺は一番細い
細 的(シーデ)ですね。

阪田さん
こりゃうまいね。寒水とかは使わないんですか?

マーさん
蘭州牛肉麺の麺は寒水使わないんですよ。

阪田さん
油使ってますよね。

マーさん
そうです。ひまわり油を使って麺を打ってます

阪田さん
あとこのスープ。薬膳ってどのくらい何種類ぐらい使うんですか?

季節によって薬膳が変わる

マーさん
18種類ぐらいですが季節によって25種類の場合もあればその時によって変えています。

恵比寿新聞
それはなぜ変えるんですか?

マーさん
寒い時は体を温めたりする薬膳を入れたり、暑い日は涼しくなるのような薬膳を入れたり、人間の体の調節に合わせて変えているんですよ。

そして恵比寿新聞はこの店で
一番太い「薄 寛(ボウクワン)」
に挑戦してみました。太い!!
甲州のほうとうのような太さ。

スープを飲んでみましたが
見た目はラー油で真っ赤ですが
そこまで辛くは無くむしろ香りが
素晴らしい麻辣の香りと言いましょうか。
牛骨の旨味がたっぷり出たとっても
優しいお味。しかも食べ飽きない!
これが無添加の極なのかと思うほど。

マーさん曰く「蘭州拉麺」は辛いんですが
蘭州牛肉麺のラー油は辛みというよりは
香りを重視しているとの事でその香りは魔性。
飲んでも飲んでも飲み足りない。
そんなエンドレススープなのであります。

そして麺!
そのコシと弾力に驚きました。
噛み締めるほどに味がジュワっと
吹き出るような食感とこれがまた
麺が長いんだわ(笑)エンドレス吸い上げ
ダイソンもビックリの吸引力じゃないと
最後までたどり着けないのです。

作り手同士の会話

その頃千葉麻里絵様と七彩阪田様と
マーさんはとってもとってもマニアックな
話に花が咲いておりました。

マーさん
うちはムスリムだから豚は使えないけど、もしこの蘭州牛骨麺の回族の伝統的な作り方で鶏ガラでやったり豚骨でやればどんな味になるのか本当に興味あります。

阪田さん・麻里絵ちゃん
おぉー!!!

マーさん
日本のラーメンのスープに薬膳使ったら面白いかなと思って。薬膳は臭みを取るのには最高の食材なんです。それ以上に香りが良い。まだ日本のラーメンでやってみたことないけど。

千葉麻里絵
魚のスープとか面白そうですよね。

マーさん
阪田さん。色々教えてください。

まんざらでもなさそうな阪田さん

手間暇と値段の話

恵比寿新聞
川口から広尾に来て料金の改定をザムザムの泉がしたとSNS上では騒がれていますがマーさんその辺どうですか?

マーさん
はい。言われました。でも方法がこれしかないんです。とても手間と暇がかかる蘭州牛肉麺は今回お兄さんとお姉さんがこっちに来てくれた事もあったり、広尾の家賃も結構高いのでどうしてもこの金額でしかできなくなりました。

阪田さん
いや。この値段で良いと思いますよ。最近ぼくもいつもその辺を考えています。手間と暇をお金に換算するのは今とても大事だと思っています。

千葉麻里絵
それでも「食べたい!」と思える人がいれば良いと思う。

マーさん
本当に悩んだけど、小さくても出せる人に楽しんでもらいたい。

すっかり盛り上がる三人

現在「ザムザムの泉」では
蘭州牛肉麺と蘭州開涼菜(付け合せ)
のセットを3,200円で提供している。

週の半分を仕込みに費やし
手間暇をかけて提供するすべてが
手作りの蘭州牛肉麺の値段としては
恵比寿新聞適正な金額だと思うし
なにより「もう一度食べたい」と
思うような素晴らしい料理でした。

是非皆さんもザムってみてください

ザムザムの泉

東京都渋谷区広尾5丁目8−13 グランディール広尾 1F
・営業時間
[木~金]
11:00~15:00(L.O) 17:00~20:00
[土~日]
11:00~15:00(L.O) 16:00~20:00

・定休日
[月・火・水] 定休日・調達仕込み日


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