ほんとにぃ~?
えー。こちら恵比寿西のJR線路沿いでございます。
こんな所に日本が誇る岡山県倉敷のジーンズが
オーダーメイドで作れる場所があるそうですけど
いや・・・どうみてもこんな場所にあるはずが
無いですよ。。半信半疑巨人戦で指定のビルへ。
Betty Smith??
指定された場所はこの5階なわけですが
本当に普通の雑居ビルなわけでございまして
そんな事よりワーカホリックスって名前ヤバいなぁ
なんて思いながらまずはエレベーターで5階へ。
うぁ。まじか。
情報は合っていました。
見渡す限りジーンズの山!山!山!
看板も何も出ていないのになんかすごい。
ここがオーダーメイドで倉敷産のジーンズを
作れる場所なのか。とにかくお店の方に
お話を聞いてみましょう。すみませーん!
いらっしゃい
恵比寿新聞
うぁ!おじいちゃ・・・・あっ。すみません。ここで日本が誇る倉敷産のオーダーメイドジーンズが作れるという事を聞き来てみたんですが本当ですか?
川崎さん
はい。本当ですよ。
恵比寿新聞
本当だったんだー。まさにテーラーのような佇まい。ジーンズがオーダーメイドで作れることもびっくりなのですがどういう経緯でこんな恵比寿でジーンズのオーダーメイドが出来ることになったんですか?
川崎さん
あ~。そうね~。この場所は元々岡山県倉敷市児島という場所にあるBetty Smithというメーカーの東京営業所で古くから東京のメーカーのジーンズをOEMで作ったりしていたんですよ。
恵比寿新聞
へぇー。だから表札に「Betty Smith」と書いていたんですね。
川崎さん
個人のお客様からもオーダーメイドをちょくちょく受けていたんだけど昨年から内装をリニューアルして本格的なオーダーメイドジーンズのお店として動いているんですよ。
恵比寿新聞
そういう事だったんですね!岡山県倉敷と言えば日本のジーンズの古里ともいえる場所。時代背景など詳しくは知らないんですけど一度は行ってみたいなーと思っていたんですよ。だって戦後日本にジーンズが来たのってどのくらいの時期な・・・・
川崎さん!!!
恵比寿新聞
寝てるかと思ったw
川崎さん
ジーンズ作っていきますか?
恵比寿新聞
うぁ!!作りたい!!!!!
川崎さん
じゃあやってみましょうか?
恵比寿新聞
お願いします!オーダーメイドで作るジーンズ初めて!
ジーンズを持つとビシッと凄いオーラの
こちら川崎利克さんは御年75歳!!!!
本格的に日本にやって来たのは1960年代。
当時川崎さんは埼玉でジーンズショップを経営。
アメリカからのコンテナ輸入で入ってきた
ジーンズを販売する日本ジーンズ界の
生き字引と言っても過言ではないでしょう。
なので川崎さん。ジーンズに関しては非常に
造詣が深く色んな話をしてくれました。
川崎さん
じゃあ生地から選びますか?昔はねアメリカ製のジーンズ生地は今の日本製のジーンズ生地と比べ物にならないくらい粗悪なものが多かった。今は本当に色んな生地があるんですよ。
恵比寿新聞
例えばどんな生地があるんですか?
川崎さん
ストレッチ素材の物やシルクを使った柔らかい記事、スタンダードなジーンズ生地もすべて国産なんです。
恵比寿新聞
1960年代って言ったらジーンズが大流行だったんじゃないですか?
川崎さん
そうですね。猫も杓子も「ジーンズ」の時代。昔はGHQが履いていたので「ジーパン」って呼んでいたんですね。この辺は渋谷ですから昔「ニューヨーク」っていう道玄坂に有名なジーンズショップがありましたよ^^どの生地にしますか?
恵比寿新聞
国産に切り替わったのはいつぐらいなんですか?
川崎さん
1970年代ぐらいだね。それこそ私たちの会社Betty Smithとbig johnを作る事となる倉敷市児島の先代達がジーンズ好景気に沸く上野アメ横の光景を見て「これは間違いない!」とジーンズを作り始めたのがきっかけなんですよ。で、どの生地にしますか?
恵比寿新聞
へぇー!!!!まさに日本のジーンズが生み出された元の会社だってことですね!
川崎さん
生地・・・・
恵比寿新聞
この生地にします!(笑)
川崎さん
では次は型ですね。どんなスタイルがお好みですか?
恵比寿新聞
んー。どういうのが良いんだろうか・・・・細身かな~。
川崎さん
じゃあこんなのはいかがですか?是非試着してみてください。
恵比寿新聞
ちなみにジーンズの型はどんなものがあるんですか?
川崎さん
非常に多種多様です。男性と女性では体のカタチが違いますよね?女性は腰元が細くヒップにかけてふくよかになる。日本で初めてレディースのジーンズを開発したのが「Betty Smith」なんですよ。
恵比寿新聞
それってすごいですね!ってことは昔輸入に頼っていた時は男性物のジーンズを女性が無理やり履いてたってことですか?
川崎さん
そうですね。当時60年代はアメリカからの輸入に頼っていましたからね。さぁ試着してみてください。
恵比寿新聞
でもさっきおっしゃっていたようにアメリカ人の体系と日本人の体形って全然違うじゃないですか?例えば足の長さなど。
川崎さん
そうですね。なので「丈詰め」と言われる足の長さに合わせてその場で縫製するサービスは日本から始まったんですよ。さぁ試着を。
恵比寿新聞
今やパンツを買いに行くときは必ず丈詰めしてくれるのがポピュラーですが日本独自の文化だったんですね。
川崎さん
試着・・・
恵比寿新聞
川崎さん・・・・
川崎さん
どうされましたか?
恵比寿新聞
絶望的に僕の足が短い・・・・
川崎さん
それはいくらオーダーメイドでも治せないですね。どうですか?履き心地は?
恵比寿新聞
いや。なんていうんだろう細身で丁度のサイズで申し分ない型ですね。
川崎さん
ここをもうちょっと細くしてほしいとか太くしてほしいとか腰元がローライズか上がってる方が良いかなど何でもおっしゃってくださいね。
恵比寿新聞
そんな事までできるんですか!?
川崎さん
はい。オーダーメイドですから^^
その後テキパキと股下の長さから
ウェストの大きさなどを丁寧に寸法。
恵比寿新聞のカラダにぴったりとフィットする
カタチが出来上がってきました。
恵比寿新聞
川崎さん。本当にさっきの試着したジーンズがシルエットも良くていい感じにフィットしていて。なぜそんな事が話してるだけでわかるんですか?
川崎さん
いや。実はさっき履いてもらったジーンズはわたしが型をデザインしたんですよ。今まで私は2万本のジーンズを作ってきてその2万本のジーンズのオーダーを分析して辿り着いたのがこの「カタチ」なんですよ。
恵比寿新聞
凄い積み重ね。2万本のオーダーから日本人にフィットしたカタチなんですね。凄い。凄すぎる。
そしてその後縫い糸の色を選び
様々な種類があるボタンを選び
ポケットの中生地の素材選びや
破れやすい箇所を補強するための
留め金「リベット」選びなどなど
全ての箇所に思い通りの仕様を
指定して作ることができる。
川崎さん
いかがでしたか?
恵比寿新聞
いや~思った以上にジーンズって奥深い世界なんだなぁ~と。そして選ぶ喜びが半端ないですね。
川崎さん
たのしいでしょ~。これで恵比寿新聞さんのオーダーを承りました。出来上がりは約6週間後。今から岡山県倉敷市の児島の本社工場で恵比寿新聞さんのジーンズが作られますので出来上がりを楽しみに^^
恵比寿新聞
やばいーー!!!たのしみっすーーー!!!楽しみすぎて待ちきれないーーーーー!!!!!
翌日・・・
来ちゃった!
今私は岡山県倉敷市にあるジーンズの町
「児島」に来ています。日本のジーンズは
この町から始まったわけですが実際にどんな
工場で製作されているか気になりまくりで
気づいたらここに居ました・・・・・
「児島」の駅に降りついたらなんと駅が
ジーンズ一色。ほら階段だってジーンズ。
駅前にもジーンズが一杯干してあって
壁紙もジーンズで「児島ブルー」なる
まさに「北野ブルー」と残似した呼び方。
瀬戸大橋の袂にある四国と本土を結ぶ
小さな町なのです。いざbetty Smithの工場へ!
やぁよく来たね
迎えてくださったのはBetty Smith代表取締役の
大島社長。児島なのに大島さん!そしてなんと!
見てください!バスの停留所が「Betty Smith駅」
恵比寿新聞
社長!凄いじゃないですか!?ベティースミス駅
大島社長
うん。凄いでしょ^^
恵比寿新聞
凄いっていうか、なんというか、ベティースミスが駅化してるの凄い。
大島社長
とりあえず恵比寿新聞さん。昼ご飯食べに行こう!
恵比寿新聞
え!?
まさかのうどん屋
大島社長
なにうどんにする?
恵比寿新聞
(心の声)え・・・香川でうどんならわかるけど・・・岡山でうどんって・・・・
大島社長
わたしは肉うどんにするわ。
恵比寿新聞
じゃあわたしも肉うどんで。
大島社長
恵比寿新聞さんはうどん好き?
恵比寿新聞
あ・・・はい・・・すき・・です。
大島社長
あぁ。そう^^
肉うどん
恵比寿新聞
それではいただきます。ずるずる・・・・・・あっ・・・・
大島社長
どう?
恵比寿新聞
やばっ。社長めっちゃ美味いじゃないですか!!!!!!!
大島社長
そうじゃろ~
恵比寿新聞
なにこれーーー!正直「岡山でうどん!?」って思ったんですがこの弾力とコシ、滑らかさと出汁加減。まさに「ザ!さぬきうどん」じゃないですか!?!?
大島社長
そうじゃろ~
美味しさの秘密
恵比寿新聞
社長なんでこんなにうどんが美味しいんですか!?
大島社長
それはねぇ~もともとこの児島は学生服や縫製の町で香川から出稼ぎの縫製職人が沢山住み込みで働いとってなぁ~。それで香川でも有名なうどんの文化がこっちにもわたって来たと言われとるんじゃ。
恵比寿新聞
へぇーーーー。いや~最高に美味しすぎて何しに来たのか忘れてしまうほどですよ。
大島社長
んじゃ~工場にいこうか。
辿り着きました。日本のジーンズが産声をあげた
こちらBetty Smithの工場でございます。
実はこの写真に写っているのはごく一部で
この辺集落一体が「Betty Smith村」のような
感じになっているんですよー。
恵比寿新聞
社長・・・凄い事になってますね。。
大島社長
あぁ~。ビレッジって呼んでるんだよ^^
恵比寿新聞
工場っていうイメージで来たんですが先ほどのバス停、そしてここは何ですか?
大島社長
ここはね。ジーンズを作る体験工房。
恵比寿新聞
あっ!という事は恵比寿のオーダーメイド的な事が出来るという事ですか?
大島社長
そうそう。オーダーメイドもできるし、既成の型のジーンズにリベット打ちやボタン付けなどできる体験工房とジーンズミュージアムがあるんです。
恵比寿新聞
凄い。アミューズメント化されているんですね。
大島社長
じゃあ工場にいこう
恵比寿新聞
あぁ~まさに縫製工場なんですね。
大島社長
1960年代に今まで学生服や作業服など作っておったうちの先代とその仲間が「ジーンズ作ったら売れる!」と踏んで初めはアメリカから生地を輸入してジーンズを作り始めたのがこの児島のジーンズの始まりなんですよ。
恵比寿新聞
まさに国産ジーンズが産声をあげた瞬間ですね。
大島社長
この工場が出来たのが私が生まれた年。小さい頃の思い出はこの工場の上に法制職人の女性従業員が住み込みでしていて父も母も従業員の面倒を見る為あまり家に帰ることなく一生懸命仕事しとったんじゃ。
恵比寿新聞
社長のお父様達が「ジーンズ作ろう!」と言ってなかったら今の日本のファッションシーンが変わっていたのかもですね。
大島社長
そうだね~。
恵比寿新聞
工場を見渡してもなかなか古いミシンが今でも現役で動いているんですね。
大島社長
そうそう。こういう古いミシンじゃないと出ない風合いがあるんですよ。
恵比寿新聞
そうか~。恵比寿でオーダーした僕のジーンズもここで出来上がっていくんだぁー。
大島社長
1つ1つ手作業で裁断からやりますから。お楽しみにしておいてください^^
恵比寿新聞
楽しみにしています。そういえば社長!ミュージアムがあるって。
大島社長
そうそう。行ってみる?
恵比寿新聞
是非!
こちらジーンズミュージアム1号館。
こちらでは児島の縫製工場の歴史から
アメリカでのジーンズの歴史などが見れ
2階はまさに恵比寿と同じオーダーメイド
ジーンズショップになっている。
恵比寿新聞
社長。このミュージアムを始めたのはいつぐらいから?
大島社長
小学校の教材で使われるようになって社会科見学を受け入れた時期ぐらいかな?2002年ぐらいです。
恵比寿新聞
こどもたちに知ってもらうきっかけから始まったんですね。
大島社長
社会科見学でこどもたちが来ると帰りに「ここは何もくれないんだね」って言われてね。先代がなにかこどもたちに帰りにおみやげを持たせたいって事でジーンズの端切れを使って作った小物をプレゼントしたら喜ばれてね。それが人気を博して今や「エコベティー」というブランドにもなってるよ。
恵比寿新聞
へぇー!すごい!
恵比寿新聞
これまた古いジーンズですね。
大島社長
初期のBIG JOHNとBetty Smithですね。
恵比寿新聞
ちなみにこのミュージアムにはどれだけの人が訪れるんですか?
大島社長
年間で5万人ぐらいですね。
恵比寿新聞
5万人!?すごい数じゃないですか?こんな田舎にというとめちゃくちゃ失礼ですが、ジーンズが観光資源になってるんですね。
大島社長
最近は海外の人も来てるね。あっ。恵比寿新聞さん。私今から出張に行かなきゃならなくて、あとはうちの西田君に案内してもらって^^また恵比寿で会いましょう^^
という事でとても気さくな社長は出張に。
学芸員でもあり広報でもある西田さんが
この後アテンドしてくださることに。
恵比寿新聞
西田さん。めっちゃ社長面白い人ですね。
西田さん
そうなんです^^恵比寿新聞さん。これに何だかわかります?
恵比寿新聞
なんすかこれ?
西田さん
これ洗いの機械なんですよ。独特な風合いを出したりジーンズに使用感を出したりするための技法で一度洗うんですよ。
恵比寿新聞
おぉー。まっさらなジーンズはインディゴブルーと言われるような青い感じですもんね。
恵比寿新聞
なつかしwケミカルウォッシュwwww
西田さん
そうなんですよ。洗いの機械でこうやって風合いを出すのも日本の技術として出てきたものなんですよ。
恵比寿新聞
やっぱ日本ってすごいんじゃなぁー。
とまさにジーンズのアミューズメントパーク化
された誰もが楽しめる仕様に。そしてショップや
アウトレットまで完備しているんですよ。
凄いですね。広報の西田さんがおっしゃってたのは
西日本の方々はここでジーンズを作るシーンは
できつつあるのですが東日本の方々はこちらまで
足を運ぶのは大変だという事で恵比寿に工房を
作ったのがきっかけだったそうです。
とにもかくにも日本の宝でもある縫製技術が
ふんだんに使われたBetty Smith社のジーンズ。
恵比寿新聞がオーダーしたジーンズも5月には
完成予定。ジーンズは「育てる」という言葉があり
自分の生活の中で使って行けば行くほど独特の
風合いに育っていくそうです。是非恵比寿の皆さんも
日本が誇る岡山倉敷市児島産のジーンズいかがですか?
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Betty Smith 恵比寿工房
東京都渋谷区恵比寿西2-4-7 NN ステーツビル5F
TEL.03-5457-2461
※オーダーメイドは予約必需だそうです※