恵比寿の最後の城と呼ばれる
恵比寿ストアに突如としてOPENした
ベトナムのサンドイッチ「バインミー」
の専門店。先日近くを訪れた際に八百屋の
若奥さんから「ここ!おいしいのよ!」と
教えていただき実食して思ったこと。
なにこのサクサク感
ただものではない旨さに驚き
その足で「取材をさせてください」と交渉。
丁度オーナーがいらっしゃったのでOK頂き
今回取材させてもらうことになった。
こちらオーナーの茂木さん。
14年前に高円寺に生麺で作る
ベトナムのフォー専門店
「チョップスティック」をOPEN。
その後数店舗ベトナムを主体とした
お店をOPENし今年夏に恵比寿に
バインミーの専門店を作ったんです。
恵比寿新聞
ようこそ。恵比寿へ。めっちゃうまかったですよー。おたくのバインミー。
茂木さん
ありがとうございます。喜んでもらえてうれしいです。
恵比寿新聞
ちなみに「バインミー」って一体なんなんでしょうか?
茂木さん
はい。バインミーって皆さん「フランスパンに具を挟んだ料理」と思うかもしれませんが、ベトナムでは「フランスパン」そのものを指すことが多くて、正式にいうと「バインミーサンドイッチ」というのがこのパンに具を挟んだものなんですよ。向こうだと「バインミー○○」みたいな○○の部分が具の名前という感じですね。
恵比寿新聞
え!?バインミーってフランスパンの総称なんだー。知りませんでした。ところでベトナムとフランスパンってなんだか不思議ですが。
茂木さん
もともとベトナムはフランスの植民地だったんですね。その時にベトナムで一般化したらしいんですよ。
恵比寿新聞
なるほど。戦争がなければこの料理はできていなかったのかぁ~。
こちら料理長的存在の片岡さん。茂木さんのパートナー。
実はこのバインミーを作るために片岡さんとスタッフの
トーン君が単身ベトナムのバインミーパン工場に
住み込みで修行に行ったそうです。
恵比寿新聞
茂木さんと片岡さんのつながりってなんだったんですか?
茂木さん
実はもう一店舗「鶏そばそると」という下北沢にあるらーめん屋の立ち上げを片岡がやったんですよ。
片岡さん
もともとイタリアンの料理人やったり某有名らーめん店で修業していたこともあって、茂木さんの新店OPEN立ち上げの話を聞いてジョインしたんですよ。
恵比寿新聞
いきなりバインミー作るとなったんですか?
片岡さん
そうですね。こっちで働いているベトナム人のいとこが有名なバインミーベーカリーで。そこに修行に行くことになったんですよ。
茂木さん
理由はいろいろあるんですが、もともとうちは生麺でフォーを作ったり、今後ラーメン店でも麺を自分のところで作る予定なんですね。バインミーも粉ものなので。なので片岡にはバインミーを作る技術を習得してもらいたいなとベトナムに行ってもらったんです。
旅行気分でベトナムへ
片岡さん
いやぁ~。最初はバケーション気分でベトナムについたんですが、ところがどっこいガチの工場で(笑)
恵比寿新聞
軽い研修だと思ってたんですね?
片岡さん
そうそう。しかもそこはその町では知らない人がいないような超名店のベーカリーで。一から全部朝から晩まで教えてもらって。しかもみんなすげー優しいんですよ。
恵比寿新聞
なんというベーカリーだったんですか?
片岡さん
HUNG YEN BAKERYというベーカリーですね。
あたたかな人々
片岡さん
俺の名前が「とおる」って名前なんでみんな「トール!!」って呼んですごくよくしてくれましたよ。
恵比寿新聞
あっちの人って優しいですよね。
片岡さん
すげー狭い部屋で雑魚寝状態で。朝起きたらパンの仕込み。作り方を惜しげもなく1から教えてくれて。今でもLINEで連絡とってますよ(笑)
恵比寿新聞
え!?どういうことですか?
片岡さん
パンがうまく膨らまないとか、焼きがイマイチだとか。LINEを通じて連絡取り合ってるんですが、こっちは日本語をベトナム語に変換して送ってるので語句がバラバラなんだけど。向こうにも通じてなくて(笑)それでもなんか一生懸命やってくれるんですよね。
ベトナム本来の製パン方法
恵比寿新聞
修業はいかがだったんですか?
片岡さん
もうね。向こうの人が使ってる機械って化石かと思うような機材で(笑)でも器用に作るんですよね~。しかも熱いから日本の気候とは全く違うわけで。しかも停電になったりとかしょっちゅうだったから。逆に厳しい現場だったからめちゃくちゃいい経験でしたよ。その逆に日本に帰ってきてからがかなり勝負でしたね。
恵比寿新聞
やはり気候の差とか使ってる機材の違いですか?
片岡さん
まさにその通りですね。最初日本に帰ってきて作ったバインミーが「良いフランスパン」ができちゃって。これじゃダメなんですよ。僕が学んだバインミーのパンっていつもみんなが食べている高級なフランスパンじゃないんですよ。
恵比寿新聞
あ。ものすごくわかります。こちらのバインミーを一口食べたときのサックリ食感はほかのフランスパンにない感覚でしたから。このサックリを出すのに日本に帰ってきて苦労されたんですか?
片岡さん
いや~苦労ってもんじゃないですよ。気候も違えば使う粉だって・・・何度選びなおしたか・・・しかしやっと納得のいくバインミーに仕上がって。
具材は町で出会った食材
恵比寿新聞
バインミーに入る具材はどんなものなんですか?
片岡さん
バインミーに入る具材は僕が研修に行って知り合った人から教えてもらったものがほとんどですね。
恵比寿新聞
まじっすか!?斬新(笑)
片岡さん
例えばバインミーに必ず入る「クエイ」と呼ばれるパクチー・大葉・バジルを混ぜたものがあるんですが、屋台とかビアホイに行くと必ず机の上にのってるんですよ。
恵比寿新聞
ちょっと待って。。ビアホイってなんですか??
片岡さん
あー。ビアホイっていううっすーいビールみたいな安い酒ですね。すぐぬるくなるので氷入れて飲むんです。もう水みたいですね(笑)それを飲むのを「ビアホイ」って言って仕事終わったら「ビアホイ行こうぜ」的な感じになるんですよ。
恵比寿新聞
へぇー。初めて知った。んでんで。その「クエイ」ってのも現地で習得したんですね。
片岡さん
僕が行ってたのはベトナムの北側のヴィンイェンって町だったので、南に行くとまた違った料理があったり。ベトナムって本当に町によっていろんな食材や料理があるんですよね。
お店のおすすめバインミー
恵比寿新聞
ということでお店のおすすめバインミーを3つ教えてほしいです^^
片岡さん
えー。3つかぁー。難しいなー。自家製なんですがベトナムハムのバインミーをまずは。
恵比寿新聞
ベトナムハム!?
片岡さん
魚肉ソーセージみたいなハムなんですけど結構おいしいんですよ。
恵比寿新聞
この片岡さんとトーンさん2人で行ってたんですね。ベトナムへ。
片岡さん
実はトーンがベトナムに行く1日前に交通事故にあって大変だったんですよ(笑)
恵比寿新聞
え?実際に行けたんですか?
片岡さん
とりあえず頭を怪我してたんだけど、日本の病院では「必ず向こうの大きな病院でもう一度診てもらってください」と念を押されてベトナムに渡れたんですが。
恵比寿新聞
おぉ。。結構な怪我ですね。。
片岡さん
ベトナムついて、現地でまず大きな病院探したら「あぁ。大きい病院あるよ」と連れて行ってもらったらないんですよ。
恵比寿新聞
どういうこと?
片岡さん
現地の人に「いや。ここだから」って指さした病院が建物は大きいんだけど日本人からするとただの診療所で(笑)赤チン塗って帰らされたんですよ(笑)
恵比寿新聞
(笑)んで大丈夫だったんですか?
片岡さん
しかもベトナムの病院でトーンのケガした頭の縫い口を見てもらったら「これはかなり芸術作品過ぎて触れない」とか向こうの病院の先生が言い出して(笑)はいベトナムハムのバインミーできました。
こちらが自家製のベトナムハム。
見た目はハムっぽいんですが、なんというか
ボロニアソーセージぽいというかちょっと
スポンジ状で柔らかいハム。
その上に先ほども言っていた「クエイ」という
パクチー・大葉・バジルを和えたもの。
その中にはなますのような野菜の酢漬け。
そこにオリジナルのニョクマムのソースなど
入る。頂いてみましたがやっぱりこの
バインミーのサクッとした食感が最高。
そして程よい酸味とクエイの香草の香りが
食欲をそそります。ベトナムハムのしっとりした
食感とパンに染みたニョクマムがまたうまい。
恵比寿新聞
いやぁ~。やっぱりこのバインミーのサクッとした食感が特徴的ですね。
片岡さん
全部ここで作ってますからね。粉から練って焼き上げてまで。
恵比寿新聞
え!?ここで粉からバインミーになるまでの作業工程を行っているんですか?
片岡さん
そうですね。ベトナムのバインミーサンドイッチ屋さんはベーカリーでパンを仕入れて屋台で独自の具を作ってはさんで売るんですよ。なのでパン屋の選定って本当に大切なんですよ。
恵比寿新聞
現地の人っていつバインミー食べるんですか?
片岡さん
まぁほぼ朝飯ですね。基本ベトナムの人って米好きなので。お昼夕食とかはフォーとかご飯ですが、朝はバインミーとベトナムコーヒーですね。
恵比寿新聞
ベトナムコーヒー?
片岡さん
ベトナムのコーヒーはちょっと変わっていてコンデンスミルク入れるんですよ。
恵比寿新聞
え?あまくない?それって?
片岡さん
いや。これが美味しいんですよ。うちのコーヒー豆昔からベトナム人が飲んでいるコーヒー豆を使用しているので本場ですよ。
これがね。また旨いんですよ。
なんか濃いというか、またこのコーヒーの濃さに
コンデンスミルクが合うんですよ・・・・
すごく不思議だけどこれはこれでありな飲み物。
んーー。衝撃です。
お次に出てきたのがこちらも自家製の
パテを入れたバインミー「ホームメードパテバインミー」
またこれがナマスの酢漬けとソースのジューシさと
パテの濃厚なぬめりがサクサクのバインミーに
合うんですよ・・・・もう一本食える・・・
ベトナムの本場のバインミーって食べたことないけど
東京にあるバインミーは何度か食べているんだが
これは全く別物というか、今まで食べてたバインミーって
なんだったんだろうな……
恵比寿新聞
ねぇ。片岡さん。今まで食べていたバインミーとこちらのバインミーが全く似て非になるものなのですが。何が違うんだろうか。。
片岡さん
いや。茂木さんと俺とで最初作ってたのってその「今まで食べていたバインミー」みたいなものでしたよ。でも現地で食べて、現地で修行して何が違うのかはっきりわかったので言葉じゃなくて食べてもらったお客さんに伝わってるのは本当にうれしいっすね。
恵比寿新聞
ベトナムの現地の皆さんに感謝っすね。
片岡さん
いや。本当にそうですよ。ベトナムのHUNG YEN BAKERYの味を日本に伝えるってみんなに約束してきましたからね。
んー。やっぱり「実際に現地で体験してみる」
という行為は非常に徳のある行動なんだな。
併せて「思いっきり現地で学ぶ」という行為も
大切なことなんだな~。今やインターネットで
なんでも情報の入る時代だけど、こうやって
現地で修業した人が伝える味や雰囲気というのは
言葉を超えて伝わってくるもんだなぁ~と。
恵比寿新聞
片岡さん。これは?
片岡さん
これは豆腐を揚げたものと季節の野菜を挟んだバインミーですね。
恵比寿新聞
これはヘルシーでうまそう・・・・
頂いてみたのですがまたこれが
噛みごたえのあるナイス食感。
野菜もみずみずしいのでジューシー感と
サクサク感が同時に味わえてしかも
ヘルシーですから女性にはいいんだろうなー。
ということでこういう「アツい思い」のある方が
恵比寿でお店を開いてくれることが本当に素敵。
たくさんお金を儲けようってことも大事ですが
「現地のみんなに本物のバインミーを伝えてくるから」
という思い。この部分とっても大事だなぁと思います。
恵比寿新聞はこんな素敵な恵比寿の人たちをずっと
取材していたい。とにかくOPENおめでとうございます。
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