実は現在恵比寿新聞はメキシコの郷土料理
「タコス」にドはまりしておりまして
何故かと申しますと年末お休みの日に見ていた
netflixの「Breaking Bad」というアメリカの
ドラマシリーズがあるのですが、そのドラマの
登場人物のイカレたメキシコ人「トゥコ」が
またうまそうにタコスを食うシーンがありまして
もう食べたくて禁断症状うずうずする毎日。
そこから程なくして恵比寿から近くの
某メキシカンのタコスを食べて絶句。。
なんというのでしょうか。全然違う。。
俺が求めていた「本物」じゃない・・・
随分前に旅で行ったロサンジェルス南東にある
コスタメサで食べたメキシコ人が経営する
「Taco Grill」の衝撃が忘れられず
やはり簡単にリアルなTACOSを食べれる
環境にないのかとがっかりしておりました。
キッチンわたりがらすの村上シェフ夫妻が
ヨーロッパ凱旋の旅から帰国。
何故かポルトガルで食べたTACOSがむっちゃ旨かった
から再現してみるわと出されたTACOSが感動の味。
自然と頬を伝う涙。泣きながら理由を聞いてみると
村上シェフ
やっぱアルカリ水処理したトウモロコシからつくるMASAという生地じゃないとトルティーヤ美味しくないんだよね~
という情報からまずはTACOSには欠かせない
「トルティーヤ」の研究をすることから
始まることに。
恵比寿新聞の仕事そっちの毛で始まった
タコスを研究する日々。編集部ドン引き。
本場メキシコのタコスに使用する
トルティーヤの生地はトウモロコシから
出来ている。小麦粉でもない。コーンフラワー
でもない、特殊な「ニシュタマリゼーション」
という乾燥したトウモロコシに石灰水を入れ
煮て1番置くアルカリ水処理がされた
「MASA」という生地を使用する。
実際に恵比寿新聞の事務所を使って
MASA粉を入手しトルティーヤを作って
テストするなどを繰り返していたら
とある一人のシェフから連絡がきた。
そのシェフは以前恵比寿南にあった
「i-TABLE」のシェフをやっていた木屋さん。
なんと木屋さんはあれから独立。2018年
夏に恵比寿2丁目でモダンメキシカン「KIYAS」を
OPENさせタコスを出しているのだとか。
木屋さん
いや~恵比寿新聞さんが困っている意味すごくわかりますよー。なんでも手伝うので言ってください!
と声をかけてもらいこんなマニアックな
相談に乗ってくれる同志が
近くにいたのかと嬉しくて嬉しくて
産まれたままの格好で
秒速6メートルの速度で
お店に乗り込んだわけです。
木屋さん
うぁ。本当にすぐ来ましたね(笑)
恵比寿新聞
教えておくれ。おっちゃんの何が悪いんや。。。
木屋さん
まぁまぁ落ち着いて。気持ちはわかりますよ。
恵比寿新聞
このあいだ。おっちゃんが焼いたトルティーヤはMASA粉を使用したにも関わらずパサパサでしっとり感もなく試食してくれた友達から「なんか煎餅っぽい!(笑)」って言われてそれでね・・・それでね・・・・
木屋さん
トルティーヤプレスは?
恵比寿新聞
あっ。持ってないから鍋のそこでプレスしてますた。。
木屋さん
もしかしてプレスしきれてないかもですね。うちのプレス見ます?
恵比寿新聞
見せてほしい!!!!!!
かわいい・・・
木屋さん
いやwそこじゃないでしょ。
恵比寿新聞
あかん。好きになってしまいそうだ。
木屋さん
焼いた時に膨らみました?プクーっと?
恵比寿新聞
え!?膨らまなかった。今俺のトルティーヤは膨らんでるがな。
木屋さん
じゃあ生地にも問題があるかもですね。
恵比寿新聞
kiyasの生地は?
恵比寿新聞
なにこれ?めっちゃカラフル!!!
木屋さん
まぁ野菜を練りこんでいるんですよ。でも正直まだ僕は満足していないんですけどね。やっぱりドライコーンからニシュタマリゼーションさせてから磨り潰す「MASA」で作ったトルティーヤでやりたいんですよ。
恵比寿新聞
そりゃ本物には敵わないよね。とにかく現在日本で手に入る「MASA粉」では僕も満足できなくて。やっぱり「本物」に近づけたい!
木屋さん
なので実は2月9日からお店をお休みしてメキシコに20日間修行に行ってくるんですよ。
恵比寿新聞
えーーーー!!!!!???ま・・・まじで!?
木屋さん
はい。その時にMASAを作るマシンとか、あとトウモロコシの種類やどうやって輸入するかも本気で考えてやろうかと思って。あまりにもメキシコ食材が手に入りにくいので。
恵比寿新聞
でもニュースで読んだことあるけど今話題の「FTA(自由貿易協定)」で安価なアメリカのGMトウモロコシ(遺伝子組み換え)がメキシコに入って農家が大打撃受けているというのを聞いたことがあるけど。独自の食文化の多様性がグローバリゼーションによって失われていく~みたいな。
木屋さん
現状メキシコでもアルカリ水処理したドライコーンからMASAを作る人がどんどん減ってきているといううわさも耳にしますが、メキシコ特有のトウモロコシの栽培に関してもどうなってるか気になるところですよね。
恵比寿新聞
う~ん。GMコーンが安価に手に入るから元々メキシコの在来種のトウモロコシなんか厳しい状態なんだろうね。。なんか急に社会派な話になって来たけど、そもそもi-TABLEやめて何故モダンメキシカンの店をやろうと思ったんですか?
木屋さん
いや~。実はですね。。
パリで出会ったメキシカン
木屋さん
i-TABLEやめてすぐにパリに修行に行ったんですよ。もう既に独立も決めてこの場所でお店をやるっていう事も決まって内装も入った状態で、お肉などを出すフレンチっぽい事をやろうと思ってたので「行くならヨーロッパだな」と思って。
恵比寿新聞
それがまたなんでメキシカンに?
木屋さん
いや~どこで足を踏み外したのか、パリでモダンメキシカンの「Restaurant OXTE」っていう所に行ったんですがそれがもう衝撃で。
恵比寿新聞
独立して「こんなお店やるぞ!」ってイメージを覆すくらいの衝撃だったのね。。。
木屋さん
それで日本に帰ってきてすぐにモダンメキシカンのお店に切り替えようと。
恵比寿新聞
それはすごい急展開!!
木屋さん
メキシカンのフュージョンっぽい事を日本の食材も使ったり、トルティーヤの上は自由度が高いなと。まぁタコスだけじゃないんですけどね。
恵比寿新聞
まぁ日本でいうところの「手巻き寿司」や中国でいうところの「点心」に考え方は似てるもんね。流石。
木屋さん
もしよかったらうちのタコス食べてみます?
恵比寿新聞
タベタ~イ♬
いや~驚きですよね。
独立を決めてからお店の内装も決まり
ヨーロッパで食の勉強のはずが新しい息吹に
出会い、発想を逆転させて「モダンメキシカン」
を始めるって。なんて運命のいらずらなのでしょう。
木屋さん
まずは定番の豚肉を煮込んだ「カルニータス」のTACOS行ってみましょうか?
恵比寿新聞
タベタ~イ♬
恵比寿新聞
グツグツ煮えてるねぇ~。香りもかなり複雑で香ばしい香りしているけど。
木屋さん
多分数えてませんが数十種類ぐらいスパイスで煮込んだ豚肉のカルニータスですね。
恵比寿新聞
うぁ~トロトロじゃないですか~。
木屋さん
今トルティーヤ焼きますので少々お待ちを~
恵比寿新聞
ハヤクタベタ~イ♬
カルニータス
恵比寿新聞
ほな。頂きます。パクッ・・・・ん!!!!!うまーーーーーーーーーい!!!!豚肉がトロトロでしかもサルサも結構シンプルにそして今回の議題「トルティーヤ」がしっかりとトウモロコシの香ばしさや香りが抜群で、しかもしっとり柔らかく美味い!!!!!!
木屋さん
おっ!よかったー!ここまで話して「違う」って言われたらどうしようと思ってました。
恵比寿新聞
やっぱこの「香ばしさ」と「あとに抜けるトウモロコシの香り」ってめちゃくちゃ重要じゃないですか?
木屋さん
需要ですね。でもフレッシュなMASAでやったらもっと凄いと思いますよ。じゃあ次!
恵比寿新聞
ヤッター
低温調理した鶏肉と
ほおずきのサルサ
恵比寿新聞
ほおずきのサルサ!?
木屋さん
向こうだと「トマティージャ」って言われているんですけど、ほおずきのサルサ結構イケますよ。
恵比寿新聞
では。パクっ。んーーー!!!!!なにこの香り。ほおずきの甘さとほんのり香る花のようなフレイバーに鶏肉柔らかっ。うま!!!これが「モダンメキシカン」なのか!!!
木屋さん
まぁでもこれまだまだスタンダードなTACOSなので次回夜来てくれたら沢山出しますよ。
恵比寿新聞
まじ!?すぐ行きます!
・・・・翌日・・・・・
きちゃったー
翌日間髪入れずにkiyasに突入。
KIYASは通常コース料理のみを提供しているが
今回はコースプラス特別に試作のTACOSを
食べさせてもらえることに。
恵比寿新聞
ただいまー。
木屋さん
来るの早っ!
恵比寿新聞
今日は”ど”メキシカンの頭を柔らかくしてその「モダンメキシカン」の世界を存分に楽しむために昼ごはん抜いてきましたよん。
木屋さん
望むところです。
恵比寿新聞
まぁなんと綺麗な。トルティーヤチップス!?
木屋さん
そうです。醤油漬けにしたイクラとサルサとアボガドのモーレのトルティーヤチップスですね。お酒も是非ペアリングにして、まずは山形高畠ワイナリーのスパークリングと一緒にどうぞ。
恵比寿新聞
冷静スープもカブのすり流しとビシソワーズみたいな。あぁ~優しい味だなぁ~。
木屋さん
うちは基本「調和した優しい味」を意識してるんですよ。日本独特の「合わせる」って感じで、本場は「味の骨格」を気にしますが、これからいろいろ出てくるのでお楽しみ^^
恵比寿新聞
うぁ~。トルティーヤチップスもサルサのフレッシュさとワカモレのクリーミーな食感に醤油でつけたイクラのプチっと塩気がきて美味い!
セビーチェと
牡蠣のスモーク
恵比寿新聞
これはブリですかな?
木屋さん
そうです。ブリです。オーストラリアのオーガニック白ワインと合わせてどうぞ。
恵比寿新聞
ん~すっきりとリンゴっぽいスムースな味わいですねん。オーガニックワインっておもしろいですよねー。
木屋さん
うちの佐藤がすべてペアリングしてます^^
恵比寿新聞
結構bioとかオーガニックワインが多いの!?
木屋さん
ふふ・・・・お楽しみです。
恵比寿新聞
えー!?なに????
木屋さん
はい。ここからTACOS行きますねー。
カルニータス
恵比寿新聞
いや~。本当にこれ、癖になる味わい。スパイス加減が深い。
木屋さん
ワインとのペアリングも面白いですよ。
恵比寿新聞
あぁ~。このワインって樽香がするというか、合う合う。やっぱトルティーヤのトウモロコシの香ばしい香りがやっぱ最高だー。うまいなー。。嫉妬するほど。
木屋さん
あははは。こっそり教えますけどうちのトルティーヤには〇〇〇が少し入ってるんですよ。
恵比寿新聞
はい!すぐ真似しよー!
木屋さん
次からペアリングするお酒が変わります。
恵比寿新聞
なに!?
鰯のツミレTACOS
木屋さん
イワシのつみれを使ったちょっと和風なタコスですね。それと日本酒を合わせます。
恵比寿新聞
ま・・・まじ!?しかも「酉与右衛門」じゃないですか!
木屋さん
これがまた合うんですよ。TACOSに。
恵比寿新聞
またまた~。では。ムシャ。。ん~。。ごくっ・・・・え!?
木屋さん
ん!?
恵比寿新聞
めちゃくちゃ合う!イワシ独特の香りがこの酉与右衛門のシュワっとするシャープな味わいに合う!
木屋さん
ですよね。日本酒にTACOSが合う事を知ったんですよ。
恵比寿新聞
これは素晴らしい発見!オーセンティックなタコスからかけ離れてかなり別物!!!!
フォアグラと
リンゴのTACOS
恵比寿新聞
これまた実験的なTACOSですな。
木屋さん
どうぞ。食べてみてください。
恵比寿新聞
それでは。パクッ。。おぉーーー。フォアグラのねっとり感とリンゴの甘みと酸味がトルティーヤに合う!しかもこのトロっとした日本酒の味わいもばっちり。
木屋さん
トルティーヤの中に入れるもので味のバリエーションもペアリングも無限大になるんですよ。
恵比寿新聞
いや~。これは驚きですわ。行ったことのない国に来たみたいな気持ちになる。
木屋さん
次はうちの自信作のTACOSですね。
恵比寿新聞
お!たのしみ!
ケサディーヤ
恵比寿新聞
おぉーーーー!!!!ラクレットみたい!!!!!
木屋さん
そうですね。
恵比寿新聞
実は僕、ケサディーヤはチーズが冷めてからが好きで。でもこのままいただきます。
木屋さん
どうぞ!
恵比寿新聞
中に入ってるのはブロッコリーかな?香りが良くてチーズの臭みがまたいい感じ。これに合わせるお酒は?
木屋さん
神奈川の川西屋酒造さんの「隆」ですね。
恵比寿新聞
丹沢山で有名な!素晴らしいペアリング!!!!
恵比寿新聞
よくよく考えてみるとトルティーヤの骨格さえしっかりとすれば上に乗る食材はかなり多様になるしフュージョンしやすいとも言えますね。
木屋さん
更にお酒とのペアリングも無限大ですし。
恵比寿新聞
これ2月のメキシコ修行でトウモロコシの輸入やマシンが入ったら、トルティーヤの味の調整もかなり柔軟にできるからめっちゃパワーアップするじゃないですか?
木屋さん
そうなんですよ。やっぱり料理には欠かせないメキシコの食材、他にも唐辛子とか。
恵比寿新聞
そういう意味では今回のメキシコ修行はかなり重要な旅になりそうですね。
木屋さん
もちろんメキシコでも人気のあるタコス店や老舗も行きます。メキシコシティーだけでなく色んな地方都市を回ろうと思ってるんですよ。
恵比寿新聞
恐ろしくディープなんでしょうね~。いいなぁ~。
木屋さん
屋台の料理は抜群に美味しいみたいですよ。
トウモロコシのモーレ
恵比寿新聞
これは?なんだろう???
木屋さん
トウモロコシで作った「モーレ」という料理ですね。まぁ「モーレ」ってメキシコでは「ソース」の意味で所謂トウモロコシのソースですね。
恵比寿新聞
黒い物体は?
木屋さん
古代米を炊いてその後サクサクになるまで炒めたものですね。横に添えられているのは柔らかくなるまで煮込んだ牛タンです。
恵比寿新聞
へぇー。どうやって食べるんですか?
木屋さん
モーレにお米を混ぜて食べるもよし。個別に食べてもよし。お好みで。
恵比寿新聞
頂きまーす。パクっ。。。(絶句)
木屋さん
おいしいですよね。
恵比寿新聞
うぁーー。これはなんと言いましょうか、トウモロコシ独特の甘さと香りにプラス古代米のサクサクとした食感と穀物感たっぷりの味わいにまたこの牛タンの柔らかい食感が絶妙すぎてこれ今日一番衝撃の味。。。
木屋さん
イチオシなんですよ。はいどうぞ。
恵比寿新聞
あらあら。やっちゃいますかっ!!
木屋さん
ゆっくりちびちびやりましょう^^
※隣のお客さんともテキーラで乾杯させていただきました。
恵比寿新聞
いやぁ~素晴らしいですね。メキシカンの料理自体の概念がかなり広がった感覚になりました。ここまで来ると何料理かわからなくなるほど。これがモダンメキシカンの世界なのね。
木屋さん
気に入ってもらってよかったです。
もうその後も木屋さんと遅くまでTACOS研究。
和の食材にも合うし、タイ料理などの酸味や
レモングラスなども合うし、甘エビを使用した
タコスや様々なバリエーションとペアリングを
楽しむことが出来ました。
最後は上質なテキーラを使用した
大人のプリンがこれまた絶品。
う~ん。スタンダードなメキシカンを
学ぶはずが「モダンメキシカン」という
新しい可能性を知る取材となりました。
木屋さんは2月9日からメキシコに
修行に出てしまいますので20日間ぐらいは
お店がお休みになります。
メキシコでの日々の活動に関しては
「KIYAS」のinstagramから更新する
とのことで目が離せませんね。
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KIYAS(キアス)
東京都渋谷区恵比寿2-9-2 AW恵比寿1F