36年間毎日毎日朝夕とコーヒーを焼き続ける自家焙煎のお店「ヴェルデ」

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いつもの恵比寿の朝の光景

恵比寿公園の近く。

毎朝9時になるとこの光景が見えてきます。

お店から飛び出た煙突からは煙がモクモク。

あたりはコーヒーの焙煎の香りでいっぱい。

この「香り」が恵比寿の朝を伝えている。

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ずいぶん昔からここ恵比寿で

自家焙煎のコーヒーを提供し続ける

「ヴェルデ」

大体時間があればこの店の常連でもある

イラストレーターのkawAshinさんと

悪だくみをするのがお決まり。

恵比寿に巨大アート作ろうよとか

何丁目にいる猫がカワイイねとか

最近「こづち」行ってないよね~とか。

あっという間に時間が過ぎていく。

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ジャーナリストの堀潤さんとの

打ち合わせもここヴェルデ。

実はこの場所から毎月開催している

伝える人になろう講座」の企画も生まれた。

何気に「ヴェルデ」から始まっている

ことがたくさんあることに気付く。

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そして毎回頼むのは「カフェオレ」。

この味を知ってしまったら最後

死んだら棺桶に入れたいリストの

上位に入る「ヴェルデのカフェオレ」

毎回訪れてはこの味に魅了され

いったいこの1杯ができるまでに

どんなストーリが隠されているのか

非常に興味を持つようになった。

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店主の晃(ひかる)さん。

普段は取材なんて絶対受けてくれないのに

今回ばかりは常連のkawAshinさんに

頼み込んで取材させてもらえることになった。

「え~写真撮るの~」

と言いつつカメラを向けると笑顔。

この晃さんが作り出す珈琲に魅了された

方々は数知れず。取材できるなんて

非常に光栄なことである。

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そしてヴェルデを語るうえで欠かせない

もう一人の主役でもあるだいさん。

いつも優しく無口ながらもヴェルデの

味を晃さんと作り続けている。

そういえばこの「ヴェルデ」

いつから始まったのでしょうか?

ヴェルデに取材で通う日が始まる。

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晃さん
んー。何年だっけかな?そういえばお店のスタンプに始まった年号が入ってるはずだけど。。あったあった。1981年だね。

恵比寿新聞
というと今から36年前。なぜ恵比寿に出そうと思ったんですか?

晃さん
いや。その頃俺は別の神田にある店で焙煎やってたんだよ。でもその神田のお店の人に「別のお店でやっていけるようになる為に恵比寿に新しくできるコーヒー店1から手伝ってみれば?」と言われてオープニングスタッフとして入ったのがきっかけ。

恵比寿新聞
えー!?意外!!!その頃から焙煎所もこのドリップの方法もあったんですか?

晃さん
いや。最初は全く別の方法でやってたし、焙煎する場所もなかった。

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自分の道を極める

恵比寿新聞
じゃあその当時のお店のオーナーさんの方法でやっていたんですね。

晃さん
そうそう、あの頃は若かったからさ。いろんな自分のやりたいこともあったけど、お店の方針通りってのも嫌でね。まぁいろいろあったけど焙煎所も作ったし。

恵比寿新聞
しかし先ほどからひっきりなしに豆を買いに来る人がいますが、いつもこんな感じなんですか?

晃さん
そうだね。日にもよるけど豆を買いに来る人は多いかな。だって喫茶店だけじゃ大変なんだから。

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とにかくお店にいると驚くのは

豆を買いに来るお客さんの多さ。

20年間ヴェルデで焙煎した豆を

買い続けているような方もいらっしゃる。

そして飲食店の方も自分のお店で

提供するための豆を購入していく。

100gとかそんな桁じゃなくて

2キロとか。すごいもんだな。。。

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一杯の珈琲は人を幸せにする

まぁ飲んでみればわかるんですが

1杯のコーヒーは人を幸せにする

と言いますが本当にヴェルデの珈琲は

何とも言えない独創的な味がある。

そんなヴェルデの珈琲。

どんなプロセスを経て

この奇跡の一杯ができあがるのか。

晃さんに密着して絶句した。

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朝8:00

お店がOPENする前に今日の分の

珈琲の焙煎が始まる。日によっては

沢山焙煎が必要な日もあり、7時から

行っていることもある。まずは裏の倉庫に

生豆を調達することから始まります。

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恵比寿新聞
うぁ。すごい量ですね。。。

晃さん
うちはいつも70kg単位から生豆を仕入れるね。10kgとかでやっている所もあると思うけど。

恵比寿新聞
この量で何年ぐらい持つんですか?

晃さん
2ヵ月ももたないよ(笑)毎日2回朝は俺。夕方はだいさんが焙煎してるよ。

恵比寿新聞
1日どれだけの豆が出るんですか?

晃さん
日によって全然違うよ。週明けの月曜日はコーヒー切れている人が多いからかなり出るけど。

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好きじゃないとできない理由

恵比寿新聞
考えてみたら恐ろしく場所をとるんですね。珈琲って・・・

晃さん
喫茶店だけじゃほんとやっていけないもんだよ。本当にやりたいことをやろうとしたら豆を保管する場所も必要だし、焙煎所だって必要。しかも場所代も高いし。

恵比寿新聞
って考えれば「恵比寿」で焙煎して喫茶店をやるって本当に大変なんですね。。

晃さん
まぁ好きじゃないとできないね。

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学校では学べないこと

恵比寿新聞
ここが焙煎所ですね。

晃さん
狭くてごめんね。まぁ毎朝ここで焙煎しているわけなんですよ。

恵比寿新聞
そういえば朝、晃さんが焙煎して、夕方はだいさんが焙煎していると聞きましたが、だいさんには晃さんが焙煎を伝授されたんですか?

晃さん
そうね。教えたね。最近はコーヒーの焙煎を教える学校まであるみたいだけどこうして毎日毎日実戦で自分が求める味に近づけるために焙煎しないとわからないことだらけなんだよな。

恵比寿新聞
日々同じ焙煎をしていても違うんですか?

晃さん
どうかな?昔はね、「何月何日天気晴れ湿度何パーセント」とかやってた時期もあったけど(笑)今はもう体に染みついているからね。

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ずいぶん古い焙煎器だな。。

そんな焙煎器からは

カラカラとコーヒー豆の流れる音と

部屋いっぱいに広がる

香ばしい珈琲の香り。

かなり時間がたったころ

晃さん
ん。そろそろ焼けてきたかな?外の煙突から煙が出てるとおもうよ。

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あっ。ほんとだ。煙。

そうそう。この香り。

朝の通勤ラッシュのなか、

この香りが朝を告げている。

甘くて香ばしい香りが

駒沢通り沿いを包み

通りゆく人は足を緩め

幸せな時間が流れる。

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そろそろかな?と晃さんの

チェックが始まります。

焙煎器に火をつけてかなりの

時間が流れました。「じゃあいきますか?」

と晃さんが合図した瞬間・・・・

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パラパラパラ・・・・

黒く光った宝石が

宝箱を開けた瞬間のように

飛び出してくる。

そして・・・・

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ゲホゲホフぇ・・・

恵比寿新聞
ゲホゲホゲホっ・・・晃さん・・・・うぁ・・・

晃さん
あー。もっと出てくるよ(笑)

恵比寿新聞
焙煎直後って・・・・ゲホゲホゲホッ・・・こんな香するんですね・・・・

晃さん
まぁ毎度のことだよ。

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こうやって朝は何回転も

焙煎が続くそうな。

10時の時点で4回転。

焼けた豆をこれから冷まします。

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晃さん
そろそろいいかな。

恵比寿新聞
晃さん。。こんな手間かかるんですか?このご時世「全自動洗濯機」がある世の中なのに・・・手間暇かかりすぎじゃないですか?

晃さん
焙煎ってこういうものですよ。自動じゃむりだね。

恵比寿新聞
1杯の珈琲にありつくまでにここまでの工程を行わないと飲めないなんて・・・

晃さん
いやいや、珈琲になるまではまだこれが半分の工程だから。

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黒い宝石

かれこれ1時間ほどたった頃。

焙煎が完了する。この焙煎は注文が

入っていたお持ち帰り用の珈琲。

こんなに手間と暇がかかっているとは。

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店内はOPEN前にも関わらず

ひっきりなしに豆を求める人たちが

頻繁に訪れ「いつもの」や「夕方取りに来るわ」

など常連客の出入りが激しく驚く。

もちろん、みな、顔見知りだ。

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36年間毎日毎日朝と夕方に

珈琲を焙煎し続けたからこその

積み重ねがこのお店の土台になっている。

素敵な人生だな。

「好きじゃないとできないよ」

って言葉がかっこいいよなー。

こんな大人になりたいなー。

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ヴェルデってこの界隈の

珈琲流通の港になっている。

9世紀エチオピアから始まり、

13世紀イエメンモカで花が開き

15世紀アラビア半島で瞬く間に

世界へと広まっていった「黒い宝石」

誰もが魅了され日本でも独自の進化を

遂げているけど、考えてみれば

恵比寿でもヴェルデを中心に独自の

流通が栄えたといっても過言じゃないよね。

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本気で焙煎を学びたい人へ

晃さんからこんな話を聞いた。

晃さん
今スタッフを募集しているんだよね。本気で焙煎の事を教わりたい人来てくれれば。

 

この記事を読んだ方でこれから

コーヒーの焙煎を学びたいという人は

今がチャンスだと思います。

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ちなみにヴェルデにはいろんなルールがある。

①パソコンを開いての作業はNG
②うるさい客はだめ

そういった意味で大人が腰を据えるお店。

もちろんタバコはOK。愛煙家にとっては

天国なのです。

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