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恵比寿ビストロ探訪。予約の取れないコースフレンチからビストロになった「PiQueR 」

恵比寿には大小合わせて60軒以上の

「ビストロ」が存在します。知ってた?

フランス語で気軽にすぐに食べられる

「小さな大衆料理店」を意味するビストロ。

日本で大きく広がりを見せるのは今から約20年前。

バブルも終わりオーセンティックなフレンチが

経済的にも足が遠のいたころに現れました。

カジュアルな値段に大衆的で肩ひじ張らない

料理の数々。今までジャケット着用義務さえ

あったフレンチの世界が一気に一般大衆化。

働くビジネス層が増え続けているここ恵比寿で

忙しい中でも「ちょっと一杯」という需要が強く

現在でも人気のビストロが多いのも街の特徴。

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「いいビストロを知ってるやつは信頼がおける」

なんてそんな言葉もあったぐらい恵比寿では

ポピュラーな「ビストロ」という業態。

今日はそんなビストロの中の世界を

ちょっと覗いてみたいと思います。

今回の紹介するのは恵比寿1丁目の

タコ公園に近いビストロ「ピケ (PiQueR)」。

アンテナの高い方ならもう承知だと思いますが

実は惜しまれつつも3年前に閉店した

予約の取れないカジュアルフレンチの名店

「les mariages de GAKU」の進化店。

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この「GAKU」っていう店がまぁ低価格なのに

しっかりとしたグランドメゾン級の料理が

楽しめると同時に全く肩ひじ張らない

カウンター越しにシェフと談笑できるスタイルを

恵比寿でいち早くやってのけた素敵な店だった。

それもすべてオーナーシェフの和久井さんの

存在が非常に大きい。ここから恵比寿新聞恒例の

「人の取材」となる。オーナシェフの和久井さんの

経歴を紐解いてみたいと思います。

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コックを夢見て

栃木県鹿沼市産まれの和久井シェフ。

料理人を目指し同郷の栃木が生んだ巨匠

フレンチシェフの音羽シェフが営む

「OTOWA Restaurant」へ仕込みの時間を

見計らい働かせてくれと直談判し働き始め

4年間みっちりと「THE グランドメゾン」を

叩き込まれる。

和久井さん
いや~。父親が普通のサラリーマンだったのでできれば親と同じサラリーマンより自分でできることをやる仕事に就きたいと宇都宮の音羽さんの下で修行させてもらいましたが、最初は思い描いていた「コック服にコック帽」のイメージからかなりかけ離れた「ずっと野菜の皮むき・下処理」ばかりで3ヵ月で辞めようと思うくらいでしたが「1年頑張ってみよう」と思ってやっているうちに結果4年間修行させてもらったんですよ。

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東京進出

その後「一度は東京のフレンチで」と上京。

日本フレンチの巨匠田代シェフが営む

青山 「ラ・ブランシュ/La Blanche」で

修行中、実の母が急病で倒れ同店を退社。

その後音羽レストランプロデュースの

レストランが六本木一丁目に開業。

和久井さん25歳、ここのOpeningで働きはじめる。

2年間働いた後、フランスへ行こうとこの仕事を辞める。

和久井さん
東京に出てきたときはびっくりしましたよ。全くラ・ブランシュでは自分を活かすことが出来なかったんですよ。同じフレンチとは言えど、衝撃的なほどにLa BlancheとOTOWAとはやり方がまるで違うし、厨房ではフランス語が飛び交い分からないと「なんでそんなこともわからないんだ!」とぼこぼこに(笑)。2年は働きました。母の倒れたのを期にお店を辞めて、落ち着いた時にたまたま以前お世話になっていた音羽シェフの六本木店が開業するのでオープニングスタッフとして入らせて頂いて。結局お店を任されるまでになったのですが2年後フランスで修行したいなとお店を辞めたんです。

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フランスに行きたい

フランス修行を志しお店をやめるものの、

現在とは違いワーキングホリデー制度が厳しく

中には旅行を偽り「潜り」で務める人も多い中

案の定ワーホリが下りず、どうしようかと

悩みながらも知り合いのお店で働きを始めたところ、

同じ店で働く方が歴史的な老舗の名店

「銀座レカン」で働いている方でその方から

「和久井君いいね!」と声をかけてもらい

まさかの「銀座レカン」で働き始める。

和久井さん
もうレカンでは「肉魚の目利き・肉の火入れ」の技術をみっちり教えてもらいました。とにかく厨房は戦争ですね。2年働いて一度もお客さんの顔を見たことないくらい過酷でした。肉の注文が一気に入った場合は「ミディアム・ミディアム・レア・ウェルダン・ミディアム・ウェルダン・レア・ミディアム・・・」みたいな全ての肉を把握して焼くという超絶な現場で。結局肉から魚の仕入れまでも任せてもらうようになり。そこで料理長の高良シェフには本当にお世話になりました。

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独立したい

元々「自分の店をもつ」事が目標だった。

まず独立をするためには料理以外にも

経営なども総合的な運営を学ぶため

色々店舗展開をしている大きな店舗に

身を置き学びたいと当時虎ノ門に出来た

ベルギービールのお店「デリリウムカフェ」

の旗出店のOpeningで働き始める。

和久井さん
一つづつ積み重ねですが経営を学ぼうと「デリリウムカフェ」のオープニングスタッフを手伝ったんです。気がついたら2店舗目・3店舗目と当時のグランドメニューなどを考えてお店で提供するという事をやっていました。とにかく早く独立したいという思いがあったので2年働いて物件を探し始めてこの恵比寿のお店にたどり着いたんです。

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GAKU誕生

恵比寿に決めた理由は食の思考が高い女性が

多く折角やるなら中途半端な場所でなく

思いっきり失敗しても悔いのない場所でと

恵比寿にお店を構えることを決めたそうです。

和久井さん
最初はお客さんが来なくて本当に怖かったですね。オープン当初から毎日1000円のランチをやっていて、近隣の住民やオフィスワーカーが結構来てくれたんですよ。飲食店の定説で「ランチ客は夜にはつながらない」っていう話があるんですが、意外や意外、ランチを食べてくれたお客さんが足を運んでくれたんです。あと夜のディナーで4800円のフルコースをやっていたお店なんかなかったんですよ。逆にそれが好感触だったのかもですね。実は赤字はOPNE1か月間のみで有難い事にその後忙しい時期が続きました。

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GAKUの進化

客足も途絶えることなく盛況なGAKU。

有難いことに毎月いらっしゃる常連さんが増えた。

日々料理を楽しんでいただくためにできれば

同じものは2度出すような事を避けるため

日々試行錯誤してきたが、6年半の営業の中で

和久井さんは料理に対する意識や方向性が

変わってきたという。

和久井さん
正直毎日がプレッシャーの日々で。飽きさせることなく日々お客さんと対話を重ねて「楽しんでもらおう」と思う気持ちは命がけでしたね。6年半もの間に様々な料理が生まれ、そして皆さんに楽しんでいただく中で僕の中の料理に対する意識や方向性が変わってきたんですよ。言葉にするのは本当に難しいのですが、一旦「GAKU」を終わらせて新たにいつでもみんながふらっと来れるようなアラカルト中心の業態に変えようと思った事と同時に、一緒に働いている折原君をフロントマンに置いた業態にシフトしました。世代交代って程でもないんですが、なのでお店のサブタイトルにも「Bar de ori」という名前を入れたんですよ。

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5000円コース料理一本だったGAKUから変わり

PiQueRはアラカルトで欲しいものを頼める

いわば「ビストロ」に変身しました。

もちろん出す料理は全て手づくり。

和久井さんが作り出すシャルキュトリは

流石名店を渡り歩いた経験がたっぷり詰まった

アッと驚く味わい。中でも「イベリコ豚」の

ハムは超絶に絶品で今こうやって記事を書いている

今でも食べたいと思うような魔性の味。

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イベリコ豚のハム

じっくりとマリネ液に漬けたイベリコ豚の

肉を燻製にして出来上がる自家製のハムは

なんと言っても燻製の香りが食欲をそそる。

口に入れた時のイベリコの香ばしさと

燻製のスモーキーさが非常に特徴的。

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脂身は非常になめらかで溶けるような

口触りで厚めに切ったカットが歯ごたえ

もあり、キリっと冷えた白ワインで頂くもよし。

これがまたうまいんですよ。

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ソムリエの折原さんのおすすめは

山梨県甲州市の山梨産マスカット・ベーリーAを

丁寧に醸造し樽にて6ヶ月熟成させた

ロリアン マスカット・ベーリーA熟成に

合わせたり、ボルドーの赤ワインに合わせても

ばっちりだそうです。横に添えられた

パテ・ド・カンパーニュも流石だなぁと思う塩加減。

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こうやって小皿に分けて2~3人で楽しく日々の疲れを

ワインで流し込みながら楽しくやるには最適だし

1人で行っても楽しく飲めるのが良い感じ。

ワインと日本酒のソムリエ資格を持っている

折原さんが癒してくれるでしょう。

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蝦夷鹿のステーキ

和久井さんが仕入れる間違いない鹿の肉と

この見ればわかる絶妙な火入れ具合は

一見の価値、いや、一食の価値がある。

素晴らしい芸術のような肉の柔らかさと

酸味と甘みをおびた特製のソースが

これまたフルボディーのワインに合います。

食べたら「あ・・・・あはぁ~ん💛」と

奇声を発すること間違いなしです。

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通常のフレンチレストランと違い

一つの皿の料理を皆でシェアできるのが

ビストロの醍醐味と言えましょう。

とにかくこの肉の柔らかさは圧巻。

レカンでの修行で身につけたこの

肉の焼き加減は正直驚くと思います。

脂身のない蝦夷鹿の芳醇な赤身の旨さが

噛めば噛むほど口の中で踊りだします。

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その他にも「フロマージュ」の種類も

抱負なんですね。折原さんがチーズには

詳しく、チーズに合わせたワインのセレクトも

折原さんに任せておけばばっちりだと思います。

とにかく今まではコースが主体だったのが

今やフラッと一杯寄れるのが嬉しいところ。

和久井さんの料理がよりカジュアルに堪能できて

しかも料理ごとにペアリングしてくださる

ソムリエもいる。

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一流店で修業した和久井さんだから出せる

クオリティーの高いちょっと粋なビストロ。

是非忙しい日々の生活にちょっとした楽しみを

体験してみてはいかがでしょうか?

記事を書いている恵比寿新聞ももう我慢できず

今日フラッと一杯やってきます。

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PiQueR(ピケ)
東京都渋谷区恵比寿1-4-1 エビスアーバンハウス
03-6450-4743

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