老舗居酒屋「彦市」がいつの間にか「今市」という大人の小粋なお店になっていた。

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寒いー!!

ずいぶん寒くなってきましたね。

恵比寿新聞でございます。

うぅ~さぶいさぶい・・・

こういう日はあつあつのおでんでも

つつきながら日本酒くぅ~っと飲んで

帰りたいな~とふらふらしておりましたら

「あれ?ここ・・・彦市じゃなかったっけ?」

恵比寿を古くから知ってらっしゃる方は

よ~くご存じだと思うのですが。

一軒家でおばさんが一人で切り盛りしていた

老舗で最近は開いていなかった「彦市」という

居酒屋さんがありまして。え・・・・

今市!?

んーどういうことだろう・・・

彦市が今市に。。

とりあえず入ってみるか。ガラガラガラ・・・

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中身が変わっとるやないか・・・

どないなってるの!?

パラレルワールドに迷い込んだ!?

んまぁ・・・

とりあえず入ってしまったので

飲むことにしました。

カウンターの席に座っていると

ポツポツとお客さんが入りだす。

しかもみなさん何気にフレンドリー

「え!?カメラ持ってるってプロの方?」

「いえいえ。名もない番記者でごぜーます」

なんて話している相手が広尾でも有名な

食事もできる小粋な居酒屋の

女将だったり・・・広報女子の

方だったり・・・大人の雰囲気。

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とりあえずまずは駆けつけ一杯の

聖水(日本酒 冷や)で乾杯。

お店のお姉さんがトクトクと

お酌してくれました。

ここぞとばかりに質問!

ここって昔、彦市だったよね?

するとこんな答えが返ってくる。

「よくご存じですね。そうなんです」

やっぱりね!

恵比寿新聞の記憶は正しかった。

でもなんで彦市から今市に・・・

牡蠣のオイル漬

牡蠣のオイル漬

いろいろと妄想をしてみた。

もしかして息子さんが引き継いだ。

その線あるな~。

でも・・・なんで彦市(ひこいち)

からわざわざ「今市(いまいち)」

なんてネーミングにしたんだろうか?

「なんかあそこのお店イマイチだったね」

的な要素をふんだんに盛り込んだ

地雷ワードにもかかわらず・・・・

いや・・・もしかして今井さんという人が

引き継いで「今井の今を取って今市!」

という流れなのか?そうやって考えると

息子さん引継ぎ説は消えるな~。。。

ん!この牡蠣のオイル漬うまっ!

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オイルのトロリ感と牡蠣の濃厚な味が

またこのクリーミーな風味の日本酒に合う。

日本酒は最近人気の奈良の酒蔵さんの

風の森 露葉風70%純米しぼり華
無濾過無加水 生酒

フレッシュ!最後に酸味がシュワーっと。

なかなかいい感じのチョイス。

これは期待できそうだな。

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お次はやっぱりこういうお店では

定番の「モツ煮込み」をオーダー。

ん!?ビーフシチューのような見た目。

食べて驚き赤味噌で絶妙に煮込まれた

トロトロうまうまの牛モツの煮込み!

あぁ・・・これは安心するお味。

しかも味付けも濃くなく塩梅ナイス。

ピントは既に板さんに合ってしまう

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恵比寿新聞
板さん。先ほどの牡蠣のオイル漬もそうですがさっきのモツ煮!かなり絶妙な味付けで濃くもなく薄くもなく素晴らしい塩梅。こんな事聞くのは少々野暮ですがもしやどこぞの和食屋にお勤めでらっしゃった?

板さん
実は私元々寿司職人でして。今はここで働いています。

恵比寿新聞
っていうと!もしや板さんが彦市の息子さん!?

板さん
いえいえ。僕はここの板前でして。オーナーは別にいるんですよ。その方がこの味付けなど考えました。

恵比寿新聞
っていうと!もしや!さっきの娘さんがオーナー?

板さん
いえいえ。。今日はまだ来ていないんですが。

恵比寿新聞
ところで彦市が今市に変わったその辺の話聞きたいんですよ。

板さん
もし良かったらオーナーのいる時に聞いてみると詳しくわかるかもですよ。

恵比寿新聞
なるほどね!ありがとうございます!

 

 

 

 

 

 

 

翌朝・・・

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また来ちゃいました|д゚)

昨日の話が気になりすぎて

寝ても立ってもいられなくて

朝一に今市にきちゃいました。

まるでストーカー。

ガラガラガラ・・・ごめんください!

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誰もいない・・・

ちょっと早く来すぎたかな・・・

朝ならオーナーいるって言ってたから。

しかし見るも見事に変わったなー。

だってたぶん築50年は経ってるだろうな。

リフォームとか大変だったんだろうな。

お。お店の人が来た。。

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恵比寿新聞
あの~今市のオーナーさんに会いに来たんですが。オーナーさんいらっしゃいますか?

オーナー
はい。

恵比寿新聞
えーっと・・・オーナーさんは?・・・・

オーナー
はい。僕がオーナーです。

恵比寿新聞
えーーー!?もっとおっさんを想像してた(+o+)

 

こちらオーナーの佐藤さん。

実は恵比寿でたくさんお店を持ってらっしゃる

若き敏腕社長だったのです・・・・

 

恵比寿新聞
それは大変失礼いたしました。こんな場所で小粋な大人のお店でしかもあんな大人の味を作り出す方だからてっきりガッツ石松似のおっさんを想像してしまいました。

佐藤さん
すみません。想像と違う感じで・・・・

恵比寿新聞
でもなぜ!?彦市の場所で今市を?

佐藤さん
まぁ色んなご縁でこの場所をお借りさせて頂くことになって、折角老舗の「彦市」さんの場所でやるんだから文字った名前にしようかと思って。

恵比寿新聞
それはなぜゆえに?

佐藤さん
面白いかなって(*’▽’)

恵比寿新聞
( ゚Д゚)え?

佐藤さん
いや~面白いかなって(*’▽’)

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恵比寿新聞
えーーー!?大丈夫なの???

佐藤さん
一応女将さんのOKはもらっているので^^

恵比寿新聞
おぉ~良かった~。それなら安心。いや~しかしあんないろんなお店やっていていきなりこの「シュール」なジャンルのお店やるってどういうことなんですか?|д゚)

佐藤さん
僕もう既に恵比寿に20年居るんです。15歳の時から飲食の仕事を初めて25歳で独立して。そんな中で最近どんどん恵比寿のお店の流れも変わって来たじゃないですか?特に西側。

恵比寿新聞
あー。確かに。繁華街化してきたというか。

佐藤さん
ずいぶん前はキャバクラとかもなかったのに。カラオケも。今や「合コンの街」と化していてそんな中で地元の人が腰を据えて遊びに行けるところも減ったな~と。

恵比寿新聞
確かに。この辺りだと「かおる」さんとかが地元の人のサンクチュアリ的な存在だけど、考えてたら減りましたね。ローカル店。

佐藤さん
なので「自分が行きたい店」を作りたくて。そう考えたらちょっと敷居は高くて入りづらくてというお店を作りたいと思ってこのお店を始めたんですよ。

恵比寿新聞
どっちかというと「商売」というより元々恵比寿にあった「良さ」の復刻しているに近いですね。素晴らしいな~。

佐藤さん
こういう飲み屋さん恵比寿にほんとに減ったじゃないですか。

恵比寿新聞
ちょっと軽くおでんも食べれて。仲間がみんな居るっていうね。

佐藤さん
あっ!丁度おでん仕込んでたんですよ。食べていきませんか?

恵比寿新聞
いいですね~。いただいちゃおうかな~💛

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恵比寿新聞
ん~いいですね。定番の大根!玉こんにゃくにこれはスジ?

佐藤さん
牛筋です。ぜひ食べてみてください。

恵比寿新聞
うぉ~やわらかい~。しかもスジのゴロっと感がいいですね~。おやじ殺しだな~この味付け。

佐藤さん
全部別々に煮立ててるので大根もスジも独自の味わいなんですよ。

恵比寿新聞
う~ん。きめ細やか。丁度いい感じですね~。チョイスもいい。その他ここは気合入ってるという逸品ありますか?

佐藤さん
是非うちのお刺身食べてほしいですね。

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恵比寿新聞
あれ?醤油は?

佐藤さん
全部細工しているので醤油なしで召し上がってください。

恵比寿新聞
下調理してあるんですね。えーっとこれはマグロかな?

佐藤さん
左からカツオのしょうゆ漬け・鯵(アジ)の味噌じめ・そして鯛の昆布じめですね。

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恵比寿新聞
それではまずはカツオのしょうゆ漬けから。パクっ。ん!なにこの「ヌメ~」っとした舌触り(´◉◞౪◟◉)

佐藤さん
日本酒飲みたくなるでしょ?

恵比寿新聞
あぁ~良いですね~純米酒!ちょっとヌル燗でこのヌメリを楽しみたいな~!ずっちーなー!

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恵比寿新聞
鯵の味噌じめ?初めて食べる刺身の味噌締め。

佐藤さん
これがまた日本酒が進むんですよ~。

恵比寿新聞
どれどれ・・・パクッ。ん!!??想像とちょっと違った!味噌締めだから塩分が濃いのかと思いきやハンナリ~塩が効いてうまみが引き出てますね~。

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恵比寿新聞
鯛の昆布締め。ん~。昆布の風味も感じられて。っていうか日本酒に合うように設計されていますね。

佐藤さん
はい。一口目から日本酒が飲みたくなるような味付けにしてるんですよ^^

恵比寿新聞
ずっちーなー。

彦市さんから譲ってもらった時計

恵比寿新聞
この時計古いですね~。

佐藤さん
彦市さんに譲ってもらったんですよ。裏を見たら明治時代の時計らしいんですよね。

恵比寿新聞
そっかー。この時計がずっと彦市さんのお店の時間を刻み続けていたんですね。そういえば彦市時代から残している「残り香」的なものないんですか?

佐藤さん
そうですね。2階に行っていただくとこの建物の柱がむき出しになってますよ。

恵比寿新聞
2階あるんですね!

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恵比寿新聞
へぇ~。おしゃれだな~。

佐藤さん
結構昔の家なので改装に手間がかかりました^^;

恵比寿新聞
彦市に2階があったなんて知らなかった~。もう伺ったのは10年以上前だから。

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恵比寿新聞
そういえば、なんで「今市」にしたんですか?

佐藤さん
実はなんとなくなんですよ。「今いちばんの今」というきれいな答えもあるんですが、ぶっちゃけていうとお店の人にも楽しんでもらいたいな~と。

恵比寿新聞
え!?もしかして・・・

佐藤さん
「今日もイマイチだったよ~」とか「イマイチだな~」って言われたくて(笑)

恵比寿新聞
やっぱり狙ってたのかー。

佐藤さん
「イマイチだったよ~」って言い合えるような気心知れた人たちが来てほしいと思ってるんですよ。

恵比寿新聞
急に深くなった(笑)

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恵比寿新聞
あ!いない間に!板さんじゃないですか!

佐藤さん
こちらみやさんっていううちの板さんなんですよ。

恵比寿新聞
みやさん。何を焼いているんですか?

みやさん
これは鴨とネギの串焼きですね。

恵比寿新聞
うまそー!!!

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恵比寿新聞
でも炭にかけるには結構な大きさですね。火が入るまで結構時間かかりそう・・・

佐藤さん
実はその辺も考えて一度低温調理しているんですよ。

恵比寿新聞
お!低温調理といえばワカヌイラムでおなじみのモダンチョップハウス「ラステイクス」さんも低温調理後に炭火で一気に焼きあげる、あの工程ですね。

佐藤さん
そうですね。低温調理で先に火を入れておいてからのうちも炭火で一気に焼き上げるスタイルですね。

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恵比寿新聞
完璧な焼き上がりじゃないですか?

佐藤さん
どうぞ召し上がってみてください。

恵比寿新聞
それでは。ハムっ。んーーージュワーーーっとカモの上質な脂が口の中でほとばしるーー!!これはうまい。

佐藤さん
その他にも蝦夷鹿の串焼きもあります。

恵比寿新聞
ワインにも合いますね。

佐藤さん
うちは国産のワインも豊富に取り揃えていますよ^^

恵比寿新聞
だって佐藤さん以前うちで取材した「アンコニュ」のオーナーさんですもんね。今日気づいたけどw

佐藤さん
そうなんですよ。うちの系列のいろんなお店もあるので集中して大きく仕入れができるので良い物も入りやすいという流れもあるんですよ。

恵比寿新聞
なるほどな~。10店舗もあれば一括で多く仕入れればコスト的にも安いし、良い品も手に入れやすいってことですね。

佐藤さん
なので今市は素材に自信はあります^^赤城和牛ってご存知ですか?なかなか手に入りづらくて。うちは多めにとっているのでこのお店でも出しているんですよ。食べてみませんか?

恵比寿新聞
あー!!!たべたい!!!

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見た目で旨いとわかるw

佐藤さん
ちゃんと炙って火を通しているので^^

恵比寿新聞
う~ん。この炙った牛独特の香りがいいですよね~。いただきます。パクッ!んーーー!!とろける!しかも脂身が全然なくてしつこくなくしかも炙った部分が旨みを引き出していますね~。レモンかけてさっぱり!

佐藤さん
丁度リブロース辺りのバランスの良い部位をカルパッチョ風に仕上げているんですが、ふつうこの値段では食べれないですね。

恵比寿新聞
さっき言ってた一括で仕入れる事で安く提供できるってことですね。

佐藤さん
そうですね。

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ということでなかなか大人が楽しむには

もってこいのお店でしたね。

チョイと一杯ひっかける上質な楽しみ。

ちなみに「彦市」さんなのですが、

お母さまがご高齢ということで

この数年間お店の営業を

やってらっしゃらない時期が続き

ご引退されたそうです。

ここで御礼をするには野暮ですが

今まで長きにわたる営業お疲れ様でした。

そして次は佐藤さんが古き良き

恵比寿の地元の人たちが腰を据えて

飲める場所を存続してくれることでしょう。

ちなみに場所は非公開。

というかめちゃくちゃわかりやすい場所に

あるんですが。見つけて入ってみてください^^

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