Unityで子どもの社会格差を解消する「恵比寿Unity部」が変えたい社会

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ちょっと固いお話から。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると

17歳以下のお子さんを対象とした

「子どもの貧困率」は2015年で13.9%。

一人親の(大人がひとりの子持ち世帯)

貧困率はまさに50.8%と半数を超えています。

昨今渋谷区の取り組みで注目された

“お金が理由で塾に通えない”教育格差を

無くしていくためにはじめられた

スタディークーポン・イニシアチブ

が記憶に新しいですが、あまり恵比寿で生活していて

「貧困」という現状が見えてこないはおろか

この手の問題は表面化しづらいのが現状です。

左が澤口さん 右が伊藤さん

左が澤口さん 右が伊藤さん

そんな中、こどもを取り巻く社会格差を解消すべく

「Unity」というスマホゲームやVRゲームを

制作する際に使用するソフトウェアを教え

「一つ技を習得させて世の中で活躍する」

こどもたちを増やそうとボランティアで活動する

「恵比寿Unity部」の伊藤周さんと澤口奨吾さんに

お話を伺う事が出来ました。

そもそもUnityってなに?

恵比寿新聞
伊藤さん。恵比寿新聞です!

伊藤周さん
はい。知ってます。

恵比寿新聞
単刀直入にお伺いしますが「Unity」ってなんですか?

伊藤周さん
はい。今恵比寿新聞さんも使っているスマートフォンのゲームなども「Unity」で作られているものが多いんですよ。例えば・・・

恵比寿新聞
たとえば!?

伊藤周さん
「Pokémon go(ポケモンゴー)」とかも有名ですね。いわゆるゲームを開発するためのソフトウェアです。様々な開発環境で作られるスマホゲームの約40%は「Unity」で作られているようです。

恵比寿新聞
ほぉ~地球で言うと「英語」を使っている人が多いよ~みたいなことなんですか?

伊藤周さん
まぁ言い換えればそうですね。

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そもそも伊藤さんって何者!?

伊藤周さんはおなかソフトの代表。

この「Unity」というソフトウェアの

世界では非常に著名なエバンジェリスト。

昨年、「Unity」を販売している

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン社を退職。

詳しい理由はこちらの「退職ブログ」を参考に

恵比寿Unity部のはじまり

恵比寿新聞
そもそもこの教育格差のあるこどもたちにUnityを教える「恵比寿Unity部」をはじめるきっかけって何だったんですか?

伊藤周さん
はじめるきっかけは「貧困の連鎖」の根っこというか根底や社会構造に腹が立っていて(笑)家庭の事情だけでまともな教育が受けられない社会に怒りがあったわけなんです。それを何とかしたいなという所ではじまったんです。それで自分が動かなきゃなという事で。

恵比寿新聞
裕福な家庭はお金で教育を受けれますが、経済的な事情で受けられない子が社会格差を味わうのはとても不幸なことですよね

伊藤周さん
しかも支援方法もただお金をあげるだけとかっていうのは良くないと思っていて。結局手にするのはこどもたちを世話する「親」で本来使われるべきこどもの為ににうまく使われてないこともあるだろうと思っていて。やっぱり直接こどもに、と言ってもうちの支援の場合は主に中学生~高校生ですけど、その子たちにUnityを教えて彼らの生きるための「武器」にしてもらいたいんです。何故なら今ゲームの開発のスタンダードツールになりつつあるんですよ。Unityが。

恵比寿新聞
というとUnityができるプログラマーさんはとても需要がある?

伊藤周さん
そうですね。今覚えておくとかなりの即戦力になりますね。なのでまずUnityを覚えてもらい社会に出てもらって中卒~高卒といえども社会で通用する人材になってもらいたいんですよ。

恵比寿新聞
でもやっぱりお金がなかったらパソコンとかも用意するの大変じゃないですか?

伊藤周さん
なので「恵比寿Unity部」はパソコンを無償で貸しているんですよ。もちろんUnity自体を教えているのも無償でやっています

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教えない・一緒にやる

恵比寿新聞
そもそも対象が中学生~高校生(ぐらい)という事なのですがどういう方法で教えていくんですか?

伊藤周さん
うちは基本、基礎的な部分は教えますがあとは「一緒に作っていく」という実践的な流れですね。

恵比寿新聞
え!?授業とか座学とかはないんですか?

伊藤周さん
はい^^だって座りながら聞いていても面白くないじゃないですか?なので一緒に「こういうものをつくりたい」という発想を一緒に頭と手を動かしながら作っていくような仕組みにしています。

恵比寿新聞
まさに実践的というか、やりながら覚えるスタイルなんですね~。

伊藤周さん
昨日来た子なんですけど、もう高校は卒業していていま丁度Unityを一生懸命覚えて、まぁタイガーマスクの「虎の穴」じゃないんですけど(笑)うちで開いている時間どんどんやっていけばそれなりにスキルも付くだろうと。そんな感じでユルくやっていますね。しかもうちはこんな雑居ビルですが最新の設備がそろってますから。

恵比寿新聞
え!?どういうの!?

伊藤周さん
OKグーグル。電気消して!

google
ピコン♪電気を操作します。

unityb001
バチンっ

恵比寿新聞
うぉーすげー!!!!電気消えた!これが噂の!・・・けど・・・Unity関係なくないっすか?w

伊藤周さん
まぁこれは趣味的な感じなんですけど、その他鍵もデジタルで管理していて中に入るものドアにセンサーがついているんです。

恵比寿新聞
おぉ~!でもそんなデジタルセンサーや鍵もデジタルにしていつ使うんですか?

伊藤周さん
僕が不在の時に宅配便が来たらパソコンで鍵を開けて中に荷物置いてもらってまたパソコンでカギ閉めます。動画で記録も撮れるので。

恵比寿新聞
へぇー!!すげー!!!でもUnity関係なくないっすか?wあ!パソコンが凄いスペックとか!?

伊藤周さん
いや。パソコンはそんなに2~3万円ぐらいのパソコンで十分Unityで開発できる環境なので。でもVRの環境もその辺の設備よりはかなりハイスペックなん・・・・

恵比寿新聞
OKグーグル。伊藤さんの自慢を停めて・・・

google
・・・・

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貧困の連鎖

平成28年に調査された「 国民生活基礎調査」の一文

貧困傾向の強い世帯ほど進学率が低い。
学歴の差は、雇用の正規・非正規の別や、
生涯賃金などに影響するため
将来の所得格差へと結びついていく。
これが、貧困世帯に生まれた子どもが、
将来も貧困に 陥る
「貧困の世代間連鎖」の構造である。
厚生労働省(2017)「平成 28 年 国民生活基礎調査」より引用

でもさ、これからの社会

もっと自由な稼ぎ方ってあるはず。

最近はパラレルワーカーと言われる

色んな業種を切り分けてできる人や

現在の社会構造に取り込まれないような

活動でちゃんと生活している人が沢山いる。

しかし、その「活動」にまでたどり着けない

コンプレックスを持っているこどもたちも

いる。例えば「児童虐待」を受けていた子。

引きこもりで社会とは関わりたくない子。

ただ単純に家庭の所得が少なく受けたい学校に

行けないというだけではこの問題が語れないのも事実。

伊藤周さん
例えば引きこもりの子だったら家に居ながらUnityでプログラムを書き、社会に関わらずとも活動は物理的にできます。

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課題だってある

この「恵比寿Unity部」にも課題がある。

そんなお話をしてくれたのは澤口さん。

澤口さんは専門学校でも先生を行っている。

澤口さん
そういった社会格差や教育格差の中にいる子にプログラミングで活躍してほしい反面、そういった「貧困」であったり何らかの事情で引きこもっている子たちとの接点が見えづらく表面化しないので。。

恵比寿新聞
行政もその辺はこどもの保護観点でいうと慎重だから連鎖が難しかったり、最近は生活保護の不正受給など本当に「貧困」ではなく実態が見えづらいという話も聞きます。

伊藤さん
あと問題は貧困だけではないんですよね。親が忙しくて家で独りでご飯食べてるんだったらうちに来てプログラミングに興味あればご飯でも食べながらUnityの勉強しようよ。って思うんですけど。なんせアクセス方法が未開拓というか。なので現在はそういった社会課題に取り組んでいるNPOの方と連動してそういった境遇のお子さんで興味のある子が通うようなスタイルでやっています。

恵比寿新聞
色々と難しい部分がありますね。届けたい人に届かない現状というか。届いたけど親が躊躇するというような事も予想されますよね。

実際の授業風景

実際の授業風景

伊藤さん
まぁこの問題は1年でできると思っていなくて山あり谷ありだから10年かけてやっと形になったねというぐらいロングスパンで考えていますから色んなアイデアが欲しいですね。実はちょっと今話題にもなっているんですけど「バーチャルユーチューバー」って存在を知っていますか!?

恵比寿新聞
え!?バーチャルユーチューバー!?あっ!中学校2年の息子に聞いたことがあるのですが、自分の顔を出さずにアニメ化したアバターが自由自在に自分の動きに合わせてYouTube発信するアレですか!?

伊藤さん
そうそう!引きこもりの子って意外とYouTubeみてるらしいんですよ。なのでバーチャルユーチューバーのことはかなりの確率で知っているわけですよ。まさか自分がアレになれると思っていないと思うんですけど。実はバーチャルユーチューバーのアバターを動かすプログラムもほぼUnityで作られているんですよ。

恵比寿新聞
なに!!??

伊藤さん
Unity覚えて自分のアバター作ってバーチャルユーチューバーで自分を発信してみない?って結構刺さると思っていて^^

恵比寿新聞
斬新wしかも自分の顔も出さなくて良いからより良い!

伊藤さん
こんな人がいるんですけど。

伊藤さん
のじゃロリさんっていう方なんですけど元々コンビニ店員だったらしいんですけど、ちょっと一念発起してUnityを覚えようとして。でもUnityを今自分がどれぐらい上達したかうまく伝えるためにバーチャルユーチューバーになったんですよ(笑)すると勉強したUnityの発表の場所になって。

恵比寿新聞
めっちゃ声おっさんじゃないですかwww

伊藤さん
自分が覚えたUnityの成果を作ったアバターを通じて動作をみせたり、こういう新しい動きができるようになったとか、発表の場所にしていったんですよ。したら「オジサンがやってるw」という事が話題になってコンビニも辞めてUnityの技術者を必要としている企業に就職したらしいんですよね。

恵比寿新聞
なんすか。そのシンデレラおっさんw「のじゃ~」ってw

伊藤さん
だから「自分にもできる」って思ったら声かけてほしいですね。

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という事で色んな社会課題への取り組みがある中

斬新なアイデアで教育格差や社会格差を無くそうと

活動されている「恵比寿Unity部」のお話でした。

毎週月曜日12:00ぐらいからユルユルとやっているので

もしご興味のある方や

そういった社会課題に取り組まれているNPOの方は

以下のWEBサイトに行ってコンタクトを

取ってみてください。恵比寿新聞大応援します!

恵比寿Unity部

thank you support by 渡邊課

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