恵比寿の広島風お好み焼と言えばここ。広島お好み焼き「ぶち」物語

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今回はこちら恵比寿駅から徒歩1分。恵比寿南にあります

広島風お好み焼きの名店「ぶち」。各界の食通からも支持が厚く、都内でも指折りの

「広島風お好み焼き」が楽しめるお店なのであります。人気の理由はそこだけじゃなかった。

実はずっと取材したかったんです

もうかれこれ何年もこのタイミングを狙っていた恵比寿新聞。

やっと取材にこぎつけました。本当に光栄です。それもこれも素敵な出会いと

ご紹介があってからこそ。とにかく中に入ってみたいと思います。

流石広島風お好み焼きのお店。店内には広島カープのユニフォームがずらり。

広島愛が感じられる。やっぱここにいる人たちはきっと広島の人ばかりなんだろう。

あっ!!このユニフォームは以前取材させていただいた広島カープの栗原健太さんの

ユニフォームではないですか!!!!!!!

2014年は栗原選手を悩ませる慢性的な右肘痛の影響で1軍登録ならず。

インタビューでも「まだ少し右ひじに違和感を感じる」とおっしゃっていたのが記憶に

新しいのですが2015年は期待したいです。頑張って栗原さん!!!!!

という事で今回お話を伺ったのがこのお店のオーナーでもある

石原智弘さんにお話を伺ってみました。そしておすすめの料理を紹介して頂きながら

石原さんのこれまでの「ぶち」開店までのお話伺いました。

お好み焼きとの出会い

恵比寿新聞
やっと取材に来れました。うれしいです。

石原さん
俺もうれしいっすよ。恵比寿新聞という物があるというのを知らなくて見たらハマりました。

恵比寿新聞
ありがとうございます。それはそうと石原さんがお好み焼きをやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

石原さん
16の時にバイトしていた居酒屋で軽く作り方は覚えたんですわ。ちなみに僕の生まれは広島の庄原というところでなんですけど。居酒屋やってる時に自分の店もちたいな~と思ってたんです。

恵比寿新聞
ちなみに今焼いているのはなんですか?

石原さん
これですか?レンコンの穴に明太子を入れて両面焼くんです。結構女の子に人気の料理っすね。

恵比寿新聞
うまそう。。あぁ~それで話の続き。その後は?

石原さん
高校卒業したと同時に大工になったんですよ。なんか一から物を作るって面白そうじゃないですか?18才から4年間ほどやりました。ある程度仕事覚えて大工の仕事で一度独立もしたんですけどね・・・

恵比寿新聞
したんですけどね・・・その後は?

石原さん
ぜんぜん仕事も来なくて(笑)先輩から少し仕事を宛がわれるだけで全然うまくいきませんでした。

それでも自分のお店は持ちたかった

恵比寿新聞
でも18歳やそこらで独り立ちして独立するのはほんと凄いことだと思いますよ。

石原さん
まぁ若気の至りってもんでしょうけど。勢いですね。お店はずっとやりたかったんですね。居酒屋的な。好きな友達が集まってこれるような気軽な店が。でもぜんぜんお金もないし、大工仕事ばっかりやってたから全然人と話すのが苦手になってたんで、思い切って人とめっちゃしゃべる職業に就こうと思ったんです。

恵比寿新聞
人とたくさんしゃべる仕事??ん??一体どんな商売なんですか?

石原さん
あっ。レンコン焼けました(笑)

絶妙の寸止め(笑)

恵比寿新聞
あっ!焼けましたね(笑)でもかなり寸止め的な残尿感の残る感じなんでもう少しその先の話を。

石原さん
それまで大工の仕事は広島でやっとたんですけど思い切って大阪に出て営業の仕事を始めることになったんです。

恵比寿新聞
そういう縁があったんですか?大阪に知り合いがいてとか。

石原さん
はい。一緒にやってみる?って誘ってくれた人が居て。

恵比寿新聞
何の営業だったんですか?

石原さん
あっ。れんこん明太焼き盛り付けました(笑)

再び絶妙の寸止め(笑)

恵比寿新聞
ん~その先の話気になるけど。まずは頂いてみましょうか。(パクっ)ん!!!これはうまい!!ってレンコンってこんなホクホクなもんなんですね。シャリシャリって食感かと思いきや。

石原さん
けっこうこれ女性に大人気なんです。なにがええんかわからんのじゃけど。

恵比寿新聞
女性は芋とか好きですからね。こういうホクホク感が好きなんじゃないですか?

石原さん
そうやったらええんですけど。

恵比寿新聞
で!!!話のつ・づ・き!

石原さん
あぁ~そうですね。何の営業かって話やったですね。

呉服販売の営業

石原さん
そんときの社長さんが誘ってくれた仕事が呉服の営業の仕事なんですね。なんでこの仕事をしようと思ったかというとそこの社長さんが「呉服は普段要らんやろ?要らんもんが売れるようになったらどこでも通用する」って言われて妙に納得して呉服の販売の営業を始めたんです。

恵比寿新聞
なにそれ(笑)確かに正論(笑)まぁ確かに呉服って毎年毎年買う物じゃないですからね。嗜好品として無ければ無いなりになんとかなるもんですけど。面白いなー。

石原さん
もうその時は「自分のお店をもつ!」って目標があったのでとにかくこの仕事で一旗揚げてお金も貯めて頑張ろうと思ったんです。

恵比寿新聞
いや~結構気合の入った仕事ですよね。で呉服の仕事はどうだったんですか?

石原さん
半年は全然売れなかったんですけど3年頑張って結構一番二番の売れる営業にまでなったんです。で、ある程度お金もたまったのでお店やろうと思ったんです。

恵比寿新聞
ぉお~やっとここで「ぶち」の登場ちゃんですか~!!??

石原さん
つぎお勧めの肉があるんですけど。焼きます?(笑)

寸止めが必殺技化しとる(笑)

恵比寿新聞
うぁ。。すごい肉っすね。これは??

石原さん
うちのお婆ちゃんが広島の黒毛和牛をお店の為に送ってくれるんですよ。めっちゃうまいですよ。

恵比寿新聞
これは良い刺しが入って結構A4~5な感じですね。

石原さん
まぁ焼きますから食べてみてください。太鼓判ですよ。これは。

恵比寿新聞
楽しみだな~。で!!で!!そこからぶちが誕生するわけですね。

石原さん
まぁそのはずやったんですけど・・・

東京に出てきて

石原さん
まず最初に降り立った町が恵比寿だったんですね。開業資金を片手にまずは物件を探そうという事に。

恵比寿新聞
ぉお~!!恵比寿で夢を叶えようという事ですね。もうお好み焼き屋さんにしようと思ってたんですか?

石原さん
はい。当時東京はお客さんが広島のお好み焼きと大阪のお好み焼きの区別がつかないようなあまり広島焼きが浸透してなかったんですね。折角東京でお店やるんだったら自分が生まれ育った町のお好み焼きを皆に食べてもらいたいと思って。

恵比寿新聞
で。物件は見つかったんですか?

石原さん
実は僕開業資金300万しか持ってなくて(笑)不動産屋に行って「これくらいで借りれるお店ない?」って余裕ぶっこいて聞いたら逆にビックリされて(笑)

恵比寿新聞
(爆笑)ちょ(笑)石原さん(笑)

石原さん
いや、ぼくそんなお店を開業するとか全然ノウハウ無くて300万円あればお店なんて簡単にできると思ってたんですよ。

恵比寿新聞
で。どうしたんですか?

石原さん
あっ。肉焼けました(笑)

寸止めマシーンかよ(笑)

恵比寿新聞
もうこの寸止めの流れが読めてきたので盛り付けるまでまだ少し時間あるので、もう一度聞きますね。どうしたんですか?

石原さん
でも恵比寿新聞さん。冷めたら美味しくなくなりますよ。

恵比寿新聞
いや。盛り付けるまで話聞きますダメゼッタイ。で。どうしたんですか?

石原さん
途方にくれました(笑)

恵比寿新聞
そりゃそうでしょうねって・・・オーイ(・ω・)ノ

石原さん
いや。だって「お店を作る」って夢を叶えようと東京に乗り出してきて思いっきり「無理」って言われれば挫折しますよ(笑)

恵比寿新聞
まぁ笑うところじゃないっすね。でも面白いけど。でも途方に暮れているだけじゃないですよね。

石原さん
家も借りてなかったので僕の家1カ月ほど漫画喫茶でしたよ(笑)仕方なく恵比寿を諦めて色んなお店を探したんですが全部無理。まじで終わったと思いましたね。

恵比寿新聞
完全にジ・エンド臭がプンプンしますね。リセットボタンがあればなー。それで?

石原さん
あっ。盛り付け完了しました(笑)

寸止めの寸ちゃんって呼ぼうか?(笑)

恵比寿新聞
超寸止めですけど。またまたこんなクライマックスジ・エンドストーリーの最中ですが食レポしちゃいますよ~。(パクっ)ニュニュニュ!!!????これ脂が全然しつこくないですね。サラッとしていて刺しの具合から見ればかなり脂が多いかと思いきや!!!???あーーーキターー!!赤身の良い味が広がるわー。旨み良しですね!広島黒毛和牛初めて食べたけど大人向け!!

石原さん
鉄板で焼くからまたおいしいんですよ。喜んでもらえてうれしいですよ。

恵比寿新聞
えーっと話の続きですが、呉服屋の営業をやるんですよね?

石原さん
それだいぶ前の話ですよ(笑)

恵比寿新聞
旨みで記憶がバックトゥーザフューチャーしちゃいましたよ。あ。そうか。まとめると。

・東京キター!!恵比寿で店出したるー!!

・貯めた開業資金片手に物件探したるー!!

・え?開業資金300万円すくなーって不動産屋に言われたー!!

・俺が馬鹿だっただよ・・・途方に暮れる ←イマココ

ですよね?

次の作業に入ってるし~(T_T)

恵比寿新聞
さっきまでの寸止めはどこ行ったんですか?「寸止め」ならぬ「ツンデレ」っすかー!!

石原さん
とりあえず最後にうちのお好み焼き焼かせて下さいよ。

恵比寿新聞
焼きあがるまでに「ぶち」のOPENまでのストーリー聞けるかな・・・で。途方に暮れて家もなくどうしてたんですか?

石原さん
まだ夢は諦めずにとにかく開業資金をちょいちょい使いながら東京の広島お好み焼きのお店を回って研究してたんですよ。そこでもう本当にどうしようってなってる時に新宿にある「ぶち旨屋」って広島風お好み焼きのお店があってめちゃくちゃ繁盛してる店だったんですが、そこの大将に面識がないけどいきなり相談したんですよ。俺広島から出てきてこれこれこうでもうダメかもしれんって。そしたら「お店が開けるまで俺んとこで働けよ」って言ってもらえたんですよ。


恩師に学んだこと

石原さん
で、「ぶち旨屋」で修業させてもらえることになっていろいろ教えてもらいました。本当に大将が居なければ今の僕はないですね。

恵比寿新聞
「捨てる神あれば拾う神あり」って言いますが本当に人の出会いって凄いですよね・・・で。その後は。

石原さん
「ぶち旨屋」で働きながらも物件は探してたんですよ。したら練馬に9坪ほどの条件に合う物件が見つかって。中村橋という西武池袋線沿いの住宅街の多い場所なんですけど。そこからスタートしようと思ってお店を借りたんですよ。その時に「ぶち旨屋」の大将が「ぶち」を持っていけと屋号の「ぶち」をもらってお店の名前が「ぶち」になったんです。

恵比寿新聞
大号泣

石原さん
でも、物件借りれるお金はあったけど内装する費用とかも微妙だったので全部自分で解体から施工からすべて自分でやりました。2ヶ月ぐらいかかりましたけど(笑)

恵比寿新聞
大工をやっていたノウハウがそこで役立つわけですね。本当に人って良くできていますよね。


OPENの日は手持ち2万円に

石原さん
まぁいろいろ自分でやってOPENまではこぎつけたんです。でも手元には2万円しか残ってなくて(笑)もう死ぬかと思いましたね。1日でも稼ぎが無ければ死ぬなって。OPENしてから1日2万円の売り上げとか。。もう自転車操業状態でしたね。初めは。自分でチラシ作って駅前に配りに行ったり、仕込みやったらチラシ配りの連続ですね。その後弟も上京してきて1年後はお客さんも入りうまくいきだして。

恵比寿新聞
それで念願の恵比寿進出となったんですね。

石原さん
そうなんですよ。長かったですね(笑)

恵比寿新聞
恵比寿新聞人生壮絶ランキングがあれば間違いなく上位ですね。いや~でも人の出会いって凄いですね。おぉ!それではその「ぶち旨屋」で学んだ広島風お好み焼きの技をとくと拝見しましょうか!

生地を円状に広げて焼いた上にとろろ昆布を少々乗せましてスパイスを少々。

その上からこれでもか!!ってキャベツが乗ります。量には驚きです。

その上に豚肉をのせます。焼けて温まった生地の上に乗るキャベツは湯気を出して

これからしんなりはんなりしていくわけですね。真横から見た断面図はこちら。


この山に登りたい・・・

見事なまでのキャベツの山!私がミクロマンなら是非この頂まで登りたい。

植村直己のような冒険家のように「そこに山があるから登るのさ」とサラッと

彼女に告げて登りたい。そんな大盛りのキャベツ山なわけですよ。奥さん。

しかしそこは石原さん。無残にもキャベツ山をひっくり返すわけですよ。

寸止めならぬツンデレなので私が登りたかったキャベツ山をひっくり返すわけですよ。

こうやってキャベツをしんなりするまで鉄板で焼き焼きします。

見てください。このガッツポーズ。ツンデレ焼きですよ。もうこれは。

もうあのこんもりとしたキャベツ山の面影はそこにはありません。

「昔はよかったな~」とぼやくお爺さんですよ。お爺さんですよ。2回言いますよ。

すると新しいヒロインがここで登場するわけですね。メンちゃんです。

「ぶち」には2種類のヒロインとなるメンちゃんが居まして、一つはノーマルのメンちゃん。

もう一つは広島県三次名物のピリッと辛い「辛メンちゃん」がいます。

まぁ恵比寿新聞で言うところの「ヤヌスの鏡」みたいなもんで全く違う人格を持つ

まさに2重人格なんですよ。杉浦幸なんですよ!※20代の人には伝わらないな・・・

という事で今回は普通の麺をチョイス。ヤヌスの鏡は是非見てくださいね。

80年代の演出たっぷりの超ド級のSFロマンなのです。さて、先を進みましょう。

蒸し焼きにしたメンちゃんの後ろには跡形もないキャベツ山。

実はこの2枚が一心同体になるわけなんですね。すごいですねー。

キャベツ山の下敷きにメンちゃんがなっちゃうんですね。怖いですねー。

もうこのころにはキャベツはしんなりしており麺もパリッと片面が

揚がっているような状態になっているわけですね。横から見た断面図。

圧縮ファイル状態・・・・

もうここまで来ると広島風お好み焼きの原型が見えてきました。

しかーし!ここでぶちは終わりません。ここからがラストスパート。

NIKOTAMA登場

これはヤヌスの鏡は関係ないのですが二子玉が登場します。

これはどこに行くかというと。少々おまちください。

軽くソースを塗ったお好み焼きの上から振りかけられる青のり。

まるであのプロゴルファーを毎回悩ませる日本シリーズJTカップ

魔の18番グリーンのような。


そこに広島産観音ネギが!!!

見てくださいこの量!!!!

広島産の観音ネギがドバァーーーッと乗りまして。

完成でございます!!!!

え!?まだ????あっ!!!!NIKOTAMAの存在を忘れていました!!!


完成!!!!!!!!

これが恵比寿の食通も唸る「ぶち」の広島風お好み焼き!!!!!!

ほら・・・見ている間にも・・・・NIKOTAMAが・・・・・・


しずってるよーーー!!

いや~念願の「ぶち」お好み焼き頂てみましょう!パクっ!!!!

ん!!!!もう形容しがたい、「うまい!」としか言えないです。

なんだか初めに石原さんのストーリーを聞いているだけに味も一入。

色んな事があってこの味になっているんですね。最高です。

野菜たっぷりでこの麺の揚がったようなぱりぱり食感が最高なんです。

そしてそのパリッとした食感も卵の黄身に交わるとフワッとした食感に

なったり、そこにしんなりとした蒸しキャベツ的なやさしい味が入ってきて

これはたまりません。大阪のお好み焼きと違い粉ものが少ないので

もちろん胃もたれもなし。いや~素晴らしいです。おいしかった。

これは何度でも訪れたい恵比寿の名店ですね。石原さんありがとうございました。

是非皆さんも(特に広島人は)押しを運んでみてはいかがでしょうか?

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広島風お好み焼き「ぶち」
住所 東京都渋谷区恵比寿南1-7-8 ニューライフ恵比寿 2F
電話 03-3760-0555
営業時間  18時00分~23時30分(不定休)

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