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【感動】3月1日より恵比寿東京写真美術館ホールで公開の「僕がジョンと呼ばれるまで」が泣ける

いまだに根本的な治療法がないとされる

認知症

自分事の話になって申し訳ないが実は私の祖母も認知症を患い僕が誰なのか

わからないままこの世を去った。家族としてはとても寂しい別れでした。

でも。みなさん。もし神様が少しの時間忘れられた記憶を蘇させてくれてたら

大切な家族とどんな時間を過ごしたいですか?

3月1日から東京写真美術館で公開されるドキュメンタリー映画

「僕がジョンと呼ばれるまで」

この取材の話が来たのは1月の末。配給会社の東風さんから是非取材してみませんか?

とのお声掛け頂き、そういえば恵比寿の東京写真美術館ホールで最近上映している映画

東京シャッターガール」「ゴールデンタイム」すべて取材しているな~と思いつつも

映画のコラムなんて書けるような自信が無い・・・なんて思いつつ・・・

送られてきた試写版を見て正直「この映画をもっと早く見ていれば」と涙しました。

僕がジョンと呼ばれるまで

このドキュメンタリー映画の舞台は平均年齢80歳以上のアメリカ・オハイオ州にある

高齢者介護施設。ここに暮らす多くの方が認知症です。スタッフのジョンは施設で暮らす

おじいちゃんおばあちゃんに毎日たずねます。 「僕の名前を知っていますか?」

でも、答えはいつも「いいえ」。何度名前を伝えても覚えていません。

そんな彼女たちが挑戦した「ある取り組み」が、彼女たちの毎日を変えていきます。

それはスタッフと一緒に読み書きや簡単な計算などをすることで

認知症の改善を目指すというもの。ここからはネタバレになるけど。涙なくしては

見る事すらできないもの。毎日スタッフのジョンは認知症の高齢者に自己紹介から

します。「ジョンです。どうもどうも。」その後雑談を踏まえもう一度自分の名前を

高齢者の方に聞きます。「僕の名前知っていますか?」すると「知らないわ。。」と。

そんなお爺ちゃん・お婆ちゃんがとある取組をすることで記憶が驚くほど戻る。。

この取り組みが始まる前のエブリンさん(89歳)は誰ともコミュニケーションを取ろうとせず

少し被害妄想があるような状態でした。もちろんジョンの名前も聞いた後5分後には忘れている。

もちろん家族ですら名前を忘れる事だってある。そんなエブリンさんがこの取り組みをすることで

劇的に回復していくんです。この回復ぶりには目を見張るものがあります。

一体どんな取り組みなの?

今回このドキュメンタリーの監督・ラインプロデューサーを務めた風間直美さんに

お話を伺う事ができました。風間さんは幾度となくこの現場となった介護施設を

訪れ、施設の方とのコミュニケーションを一から行い作品を作り上げたそうです。

一体どんな取り組みをしたんでしょうか?

東北大学・川島隆太教授の脳トレ

もう既に日本では有名な「脳トレ」。このブームの立役者でもある川島教授が考えた

認知症改善プログラム「学習療法」。簡単な計算や書き物をすることで脳をトレーニングし

人間の脳の司令塔とも言われる「前頭前野」を活性化させるという療法です。

風間監督
取材はアメリカ現地在住の日本人カメラマンさんと一緒に行動をともにしながらドキュメンタリーを撮影していくという感じです。実はこのドキュメンタリーを撮影するずっと前からこのプロジェクトは動いていて、日本で生まれた学習療法をまず、川島教授と公文学習療法センターがアメリカ人に合わせたプログラムに作り上げることから始まりました。例題や文字の種類にいたるまで、アメリカの習慣や文化などに合わせることが必要で、教材は研究に研究を重ねて作られたものです。(その苦労話だけで、『プロジェクトX』のような番組ができると思うほどでした。)その後、公文学習療法センターのスタッフが現地の協力介護スタッフに学習療法の取り組み方をレクチャーし、初の海外研究にこぎつけたわけです。私は実践日となる初日から撮影に入らせてもらいました。

恵比寿新聞
実際に撮影に入るとなると法律や契約の厳しいアメリカでは色々と御苦労があったとか?

風間監督
まず。日本でもありますが、アメリカの介護施設は親族以外の立ち入りが非常に厳しい事もありましたし、プライバシーの問題など配慮しなければいけない事が沢山ありました。その上、異国の地から来た撮影クルーですから、まず私たちも現場の状況や雰囲気を把握しなければいけないとともに、何よりもまず私たちを信頼してもらわなくてはなりませんでした。ただ、・・・最初はどうしよう・・・という気持ちがいっぱいありましたね。取材期間の間に、本当に改善されるのかも分かりませんし、しかも1週間の撮影が終わればすぐに日本に帰りまた1ヶ月後訪れるという大変な撮影でした。

恵比寿新聞
どうやってそんな施設の方との溝が埋まって行ったんですか?映画を見ていると最初はカメラを嫌い顔を隠す施設の方もいらっしゃったようですし、最後の方は家族のように打ち解けていた。


風間監督
現地アメリカに住む日本人カメラマンの松本さんとコーディネーターの本山さんの温和な性格にとても助けられたと思います。とても長い間アメリカに住まれている方なのでお二人が言葉の壁と相手との心の距離を縮めてくれたと思います。その他アメリカの女性の方ってとてもおしゃれで服なんてすぐに「これはどこで買ったの?」なんて話すのが最初のお話の種なんですね。私の場合はネイルをおばあちゃんたちに見せたりやってあげたりとしているうちに距離が縮まりましたね。あとはじっくりと、入居者たちの思い出話に付き合うことが大切でした。

恵比寿新聞
実際にこの「学習療法」の効果を目の前で見られていると思うのですが凄いですよね。。僕も驚きました。

風間監督
もちろん学習者たちが日に日に改善されていくことで親族の名前を思い出したり以前より施設の雰囲気も良くなったりとする事もあるのですが、施設に従事するスタッフの士気が上がって行く姿は非常に感動しました。何故かというとこの「認知症」と言われる分野は治療法が確立されていないのが現状で、悪化していく入居者を介護するというのがスタッフの仕事でした。それがこの取り組みをすることで改善されるという明るい光がさしたことでスタッフもモチベーションが上がり、より個人に合った介護ができるようにスタッフ同士が入居者の情報を話合ったり以前とは比べ物にならない程施設が活気づいたんですね。

恵比寿新聞
僕も祖母が認知症で最後僕の名前を忘れたままこの世を去ったんですね。ご家族の方は大変喜ばれたんじゃないですか?

神様がくれた魔法の時間

風間監督
恵比寿新聞さんのお婆様のように認知症のまま亡くなるという方が多いんですね。やはり人はいつか亡くなるものだと思います。家族の方誰しも認知症になる前に「もっとお父さんと話しておけばよかった」や「最後にちゃんと言いたかった」という事があると思うんですね。この治療法は認知症の症状を改善し、進行を和らげるというものです。認知症の方にとってもこの療法は素晴らしい物なのですが、私は家族にとって「時間を戻せる魔法」だとも思いました。親の認知症の進行を頭では分かっていても、心がついていかないままどんどん認知症は進行してしまう・・・。けれど学習療法によって少し時間が取り戻せるんです。今回取材させてもらったご家族と話す中で、その時間は、最期の時に向けての家族の心構えの時間になるのではと思いました。「もう一度、自分の背中を押す言葉をかけてほしい」「思い出の場所に行きたい」「私が小さかった頃ってどんな子供だった?」とか何気ない日常をもう一度叶えてくれる魔法の時間です。その時間のおかげで、家族はどう一緒に過ごすべきか、またどう過ごしたいか、考える事ができるのではと思います。

恵比寿新聞
僕もこの映画にもっと早く出会っていれば最後に御婆ちゃんに自分の名前を呼んでもらいたかったなって。本当に素晴らしい夢のあるドキュメンタリーだと思います。本日はお忙しいところありがとうございました。

いつか人は旅立って行くけどもし「時間が少し巻き戻せるなら」何をするんでしょうか?

この映画を通じて私たち誰もが抱える不安を希望に変えるヒントになるはずです。

そして人の幸せってお金や物ではなく「家族」や「笑顔」だったりするんだろうなと。

このドキュメンタリーはアメリカドキュメンタリー映画祭・ベルリン国際フィルムアワード

などで賞を獲得。是非ご覧になってほしい映画です。

映画「僕がジョンと呼ばれるまで」は3月1日~3月28日まで恵比寿ガーデンプレイスに

あります東京都写真美術館ホールで上映されています。

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映画「僕がジョンと呼ばれるまで」
3月1日(土曜日)~3月28日(金曜日)
上映場所 恵比寿ガーデンプレイス 東京都写真美術館ホール
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
※上映時間は東京写真美術館ホームページまで※

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